英文誌(2004-)
シンポジウム
シンポジウム4
泌尿器癌の超音波診断ガイドラインを考える 第2部:前立腺
(S144)
国内での造影超音波の使用成績
Contrast-enhanced ultrasonography of the prostate:Our experience
佐野 太
Futoshi SANO
横浜市立大学 大学院医学研究科泌尿器病態学
Department of Urology, Yokohama City University Graduate School of Medicine
キーワード :
前立腺の系統的多箇所生検は標準的検査法として確立しているが,病巣を狙っての生検ではないため不必要な生検も多数なされている.また再生検での癌の発見率は20%程度あることから,初回生検での採り逃しの可能性もある.前立腺癌患者がますます増加が見込まれることなどからも,より効率良く病巣を同定する標的生検の実現が望まれる.標的生検の手段の一つとして,これまで主に海外から経直腸的造影超音波の有用性に関する報告がなされている.造影超音波での前立腺癌を示唆する所見は①早期に造影される ②造影効果が強い ③非対称性の前立腺内の血管 とする報告が多い.本邦でも肝臓領域で第2世代超音波造影剤が臨床応用されて以降,前立腺への応用に関していくつか報告がなされ,また臨床治験も行われており,その有用性が期待されている.本シンポジウムではわれわれの経験症例から実際の画像を供覧し,標的生検の実現可能性,臨床応用上の問題点などに関し議論したいと考えている.
参考画像:前立腺癌症例の経直腸造影超音波.PSA20.8ng/ml.造影剤投与後20秒で左辺縁領域に強い造影効果が現れた.同部の生検でGleason score4+3の腺癌の診断.