英文誌(2004-)
シンポジウム
シンポジウム2
3次元超音波診断の最前線
(S138)
ペースメーカー治療における三次元超音波法も含めた心エコーの有用性
Echocardiograhic evaluation, including three-dimensional echocardiography, for pacemaker therapy
西野 雅巳1, 田内 潤1, 李 泰治1, 原 正彦1, 山口 仁史1, 藤田 晋一2
Masami NISHINO1, Jun TANOUCHI1, Yasuharu LEE1, Masahiko HARA1, Hitoshi YAMAGUCHI1, Shinichi FUJITA2
1大阪労災病院 循環器内科, 2大阪労災病院 心エコー室
1Division of Cardiology, Osaka Rosai Hospital, 2Echocardiography Laboratory, Osaka Rosai Hospital
キーワード :
【背景】
ペースメーカーの治療においては従来より使用されていた右室心尖部ペーシング(RVA)が予後を悪化させうると報告され,1)ペーシングの位置につき注目が集まってきた.我々もspeckle tracking法を用いてRVAでの左室twistが障害されることを報告した.2)また心不全治療のひとつである心室再同期療法(CRT)も約30%のnon-responderがありこの予後予測に注目が集まっている.
【目的】
種々のペースメーカー治療において心エコーの手法であるspeckle trackingを用いてtorsionやtwistの指標を中心に有用な心エコー指標を評価すること.
【対象および方法】
ペーシングの位置による差の検討ではRVA群12例と右室流出路ペーシング(RVOT)11例を用い,左室駆出率やtissue Dopplerによる中隔と側壁のpeakのずれ,torsion,speckle trackingを用いたtorsionや基部と心尖部のtorsion peakの時間差(rotational dyssynchrony)を評価した.またCRT7例ではresopnder,non-responderにて自己心拍時に左室駆出率,左室拡張末期径,左室収縮末期径の他,3D speckle tracking法でtorsion,twist,radial strain,circumferential strain,longitudinal strainを評価し比較した.
【結果】
ペーシングの位置による違いの検討ではRVA群はRVOT群よりrotational dyssynchronyがより大きく生じていたが他の心エコー指標では差があるものは認められなかった.またCRTでの三次元超音波法による検討では種々の心エコー指標のうちresponderで自己心拍時,基部前壁中隔と基部後壁のtorsion peakの時間差が有意に長かったが他は有意差を認めるものはなかった.
【結論】
心エコー指標のrotational dyssynchronyの観点からもRVOTの有用性が示唆された.また三次元超音波法によるtorsion peakの時間差を用いるとCRTのresponderを予測しうる可能性が示唆された.
【参考文献】
1.Wilkoff BL, Cook JR, et al. Dual-chamber pacing or ventricular backup pacing in patients with an implantable defibrillator: the Dual Chamber and VVI Implantable Defibrillator (DAVID) Trial. JAMA. 2002;288:3115-23.
2.Matsuoka K, Nishino M, et al. Right ventricular apical pacing impairs left ventricular twist as well as synchrony: acute effects of right ventricular apical pacing. J Am Soc Echocardiogr. 2009;8:914-9