Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

シンポジウム
シンポジウム2
3次元超音波診断の最前線

(S136)

卵円孔開存の診断におけるコントラストリアルタイム3次元経食道心エコー法の有用性

Detection of Patent Foramen Ovale by Contrast Real-time 3-dimensional Transesophageal Echocardiography

楠瀬 賢也1, 山田 博胤1, 西尾 進2, 冨田 紀子1, 林 修司1, 河野 裕美2, 佐藤 光代2, 添木 武1, 赤池 雅史1, 佐田 政隆1, 2

Kenya KUSUNOSE1, Hirotsugu YAMADA1, Susumu NISHIO2, Noriko TOMITA1, Shuji HAYASHI1, Hiromi KAWANO2, Mitsuyo SATO2, Takeshi SOEKI1, Masashi AKAIKE1, Masataka SATA1, 2

1徳島大学病院 循環器内科, 2徳島大学病院 超音波センター

1Department of Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital, 2Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital

キーワード :

【背景】
卵円孔開存(PFO)は成人の約27-30%に存在するとされるが,奇異性脳塞栓症の原因として重要であり,その診断には経食道心エコー法が用いられている.その際,攪拌生理食塩水によるコントラスト造影法を用いてPFOの存在を正確に検出するためには,5回以上のコントラスト剤の投与が必要であるという報告がある.近年,リアルタイム三次元経食道心エコー法(3D-TEE)が開発され,特に弁膜疾患においてその臨床的有用性が確立されつつある.
【目的】
3D-TEEがPFOの診断に有用であるか検討すること.
【方法】
当院にて心原性脳塞栓が疑われた連続123例のうち,経食道心エコー検査を施行した洞調律の42例を対象とした.3D-TEE検査は,Phillips社製iE33を用いた.コントラスト造影法は22Gサーフロー針で末梢静脈ルートを確保したのちに,用手的に攪拌した生理食塩水を静脈投与し,Valsalva手技,Mueller手技,咳嗽などの負荷を併用してマイクロバブルの右房から左房への移動の有無を観察した.コントラスト剤の投与回数は,2D法での観察は4回まで施行し,2D法でPFOが検出されれば3D法での観察を1回追加した.2D法でPFOが検出されなければ3D法での観察を2回まで施行した.
【結果】
平均年齢は59±13歳,男性28例,女性14例であった.PFOの有無で分けた場合,患者背景および経胸壁心エコー指標は両群間で有意差を認めなかった.2D法による観察では,全42例中16例(38%)でPFOが検出された.3D法による観察を追加することで,2D法でPFOが観察されなかった26例のうちの3例でPFOが検出できた.そのうち1例の2D法による観察(左図)と3D法による観察(右図)を示す.また,2D法でPFOが観察できたすべての例において,3D法でもPFOが確認された.
【結語】
2D法では検出できなかったPFOが3D-TEEを用いることで確認できた症例があった.2D法では1断面の観察しかできないのに対して,3D法は多断面での同時観察と同等であることから,左房内の少量のマイクロバブルが検出できたと考えられた.また,2D法で観察できたPFOはすべて3D法でも検出可能であったことから,3D法はコントラスト剤の投与回数を減少させ,検査時間の短縮に貢献する可能性があると思われた.