Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
体表:乳腺

(S517)

破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌の超音波所見について

Ultrasonographic findings for invasive ductal carcinoma with osteoclast-like giant cell of the breast

櫻井 健一, 松尾 定憲, 榎本 克久, 小倉 道一, 北島 晃, 飯塚 美紗都, 平野 智寛, 谷 眞弓, 天野 定雄, 塩野 元美

Kenichi SAKURAI, Sadanori MATSUO, Katsuhisa ENOMOTO, Mchitaka OGURA, Akira KITAJIMA, Misato IIZUKA, Tomohiro HIRANO, Mayumi TANI, Sadao AMANO, Motomi SHIONO

日本大学医学部外科学系総合・乳腺内分泌・呼吸器外科分野

Division of Breast and Endocrine Surgery, Department of Surgery,Nihon University School of Medicine

キーワード :

 乳癌に破骨細胞様巨細胞が出現することは極めてまれであり,その発生機序,意義,悪性度,予後,画像診断所見については不明な点が多い.現在までにわれわれが経験した破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌は2症例であり,これらに対する超音波所見を検討した.
 症例1:46歳,女性.主訴は左乳房腫瘤.左乳房C領域に直径3cmの境界明瞭で辺縁整な腫瘤を触知した.マンモグラフィでは中心高濃度な腫瘤として描出された.超音波検査では直径2.2cmで,内部均一,後方エコ−増強,辺縁平滑な腫瘤として描出された.前方境界線の断裂は認めず,同側腋窩リンパ節に腫大を認めた.穿刺吸引細胞診では悪性が疑われた.乳房円状部分切除術+腋窩リンパ節郭清術+術中迅速診断を施行した.病理組織検査では破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌と診断された.腋窩リンパ節にも転移を認め,ER(-),PgR(+),HER2 score:0,T2,N1,M0 = StageIIBの診断であった.術後6年目の現在,無再発生存中である.
 症例2:52歳,女性.6ヶ月前より右乳房腫瘤に気づくも放置していた.次第に出血を伴うようになってきたため,当科を受診した.右乳房BCD領域に直径7cmの腫瘤を触れ,腫瘤は皮膚より一部突出しており,易出血性であった.超音波検査では辺縁不整,内部不均一な腫瘤として描出され,後方エコーはやや増強していた.同側腋窩リンパ節に腫大を認めた.穿刺吸引細胞診では悪性の診断であった.胸筋温存乳房切除+腋窩リンパ節郭清術を施行した.病理組織検査では破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌,ER(-),PgR(-),HER2 score0,T4d,N2,M0=StageIIIbの診断であった.術後5年6ヶ月目の現在,無再発生存中である.
 過去の報告では,破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌と他の乳癌との間に発症年齢,発生部位に差はないが,マンモグラフィ検査や超音波検査では境界明瞭で良性を疑わせる所見が多いとされる.自験例の超音波所見では比較的境界明瞭,内部均一,後方エコーが増強する腫瘍として描出された.