Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
体表:乳腺

(S517)

超音波像で特徴的な所見を呈した乳腺ductal adenomaの1例

Ductal adenoma of the breast with distinctive ultrasonographic feature

広利 浩一1, 高尾 信太郎1, 濱本 雅子1, 福田 香織1, 前川 陽子1, 鈴木 加代2, 岸田 浩明3, 世良 博史3, 佐久間 淑子4

Kouichi HIROKAGA1, Shintaro TAKAO1, Masako HAMAMOTO1, Kaori FUKUDA1, Youko MAEKAWA1, Kayo SUZUKI2, Hiroaki KISHIDA3, Hiroshi SERA3, Toshiko SAKUMA4

1兵庫県立がんセンタ−乳腺科, 2兵庫県立がんセンタ−放射線診断科, 3兵庫県立がんセンタ−超音波室, 4兵庫県立がんセンタ−病理診断科

1Department of Breast Oncology,Hyogo Cancer Center, 2Department of Radiology,Hyogo Cancer Center, 3Division of Ultrasound,Hyogo Cancer Center, 4Department of Pathology,Hyogo Cancer Center

キーワード :

【緒言】
画像診断にて興味深い所見を呈した乳腺ductal adenomaを経験したので提示する.
【症例】
73歳 女性,検診マンモグラフィにて左乳房の異常を指摘された.前医にて針生検行われ,左乳癌(浸潤性乳管癌)の診断にて当科紹介となる.既往歴:特記すべきことなし,乳癌検診歴なし.視触診所見では左EB領域に2.0×2.0cm,弾性硬の腫瘤を触知.マンモグラフィではMLOでは左L領域,CCではI領域に楕円形,境界はほぼ明瞭平滑な高濃度の腫瘤を認めた.腫瘤内部には卵殻状の粗大石灰化がみられた.乳房超音波検査では左BE領域に楕円形の21×15×15mm大の低エコー腫瘤を認めた.境界は比較的明瞭平滑であり,内部エコーは不均一,低エコーで,マンモグラフィと同様に石灰化を疑う粗大な高エコースポットな成分を含んでいた.後方エコーは一部に増強を示す部分があったが,内部の高エコースポットの後方は減弱していた.前方・後方境界線の断裂は明らかではなかった.ドプラ法ではhypervascularな腫瘤であり,PI:2.8,RI:0.98と高値であった.MRIでは同部はT1強調像,脂肪抑制T2強調像では乳腺とほぼ等信号を呈していた.ダイナミックでは早期濃染し後期相でwashoutする部分と,後期相にかけて徐々に染まる部分とが混在し,後期相にては比較的均一な造影増強効果を認めた.針生検では明らかな悪性像はなく,良性病変と考えられたが,一部に異型細胞を混在しており,腫瘤の全体像を確認するためprobe lumpectomy行った.腫瘍の割面は白色充実状.境界は比較的明瞭で,中心部に石灰化を認めた.組織学的には,極めて多彩な像を示す腫瘍で,硬化性腺症や乳頭腫状変化が混在していた.上皮には2相性を伴っており,一部にはアポクリン化生を伴う ductal adenomaと診断された.