Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
体表:甲状腺・その他

(S514)

超音波上甲状腺濾胞性腫瘍を疑った気管原発多形腺腫の一例

Pleomorphic adenoma originating from the trachea showed the appearance of follicular adenoma of the thyroid in ultrasonography: Report of a case

田中 優子

Yuko TANAKA

土浦協同病院外科

Surgery,Tsuchiura Kyodo General Hospital

キーワード :

症例は57歳女性.右頚部の腫れを主訴に当院受診.身体所見では,右頚部に可動性不良の3cm大の硬い腫瘤を触知した.超音波所見では,甲状腺右葉に,辺縁不整,分葉状の血流に乏しい2x3cm大の充実性腫瘤を認めた.甲状腺後方では,気管との境界が一部不明瞭であり,気管浸潤を疑った.明らかなリンパ節の腫大は認めなかった.腫瘍からの細胞診はClassIIIであった.画像所見と合わせて甲状腺濾胞性腫瘍(悪性疑い)と診断し,2006年9月手術を施行した.腫瘍は白色調で非常に硬く(軟骨様),甲状腺被膜の外側から埋入するように存在した.甲状腺の脱転操作にて甲状腺からは容易に分離したが,気管軟骨との分離は困難であり,気管原発の腫瘍を疑った.腫瘍の術中迅速診断にて,甲状腺組織を含まない良性腫瘍と診断された.甲状腺濾胞癌が否定されたため,甲状腺全摘は行わず,甲状腺右葉切除および腫瘍を第一気管軟骨とともに切除した.術後病理組織学的診断は気管原発多形腺腫であった.多形腺腫は通常唾液腺に好発する腫瘍で,気管原発は稀であり,現時点では自験例を含めて34例の報告があるのみである.通常気管内部に発生し,喘息様症状や呼吸苦等で発見される.本症例では,気管外側から甲状腺内部に埋入する形で増殖していたため,頚部腫大以外の自覚症状は認めなかった.本症例と類似する報告は検索し得えず,自験例はfirst caseと考えられる.甲状腺内に存在する腫瘍性病変として,非常に稀な症例を経験したので報告する.