Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科:胎児

(S509)

胎児Well being評価のための汎用胎児信号記録装置の開発

Development of general-purpose fetal signal recording system for fetal well being evaluation

大熊 友貴, 富沢 良介, 山越 芳樹

Yuuki OOKUMA, Ryousuke TOMIZAWA, Yoshiki YAMAKOSHI

群馬大学大学院工学研究科電気電子工学専攻

Electronic Engineering, Graduate school of Gunma University, Faculty of Engineering

キーワード :

【目的】
定量的で客観的な胎児のWell beingの評価が求められているが,従来の胎児心拍数計測装置(CTG : Cardio Toco Graphy)では記録される心拍数の精度や時間応答性について多くの議論がある.またCTGのようなベットサイドで使える簡便な胎児モニタ装置で心拍数以外の定量的な胎児Well beingパラメータを評価できないかという要求も強い.CTGの性能向上や心拍数以外の評価パラメータの有効性を検証するためには,胎児信号を空間分解能高く平坦な周波数特性で記録できる装置の実現が必要になる.今回,このような汎用の胎児信号記録装置を試作したので報告する.
【装置の概要】
本装置では要求に応じて装置の構成や信号処理アルゴリズムを変えることができる.図にその概要を示す.超音波トランスジューサとして,7個の半径6mmの円形振動子が振動子中心間隔13mmで配置されたもの,7個の半径9mmの円形振動子が振動子中心間隔19mmで配置されたものの2つが選択でき,前者は深さ50〜130mmで,後者は深さ100〜200mmでほぼ均一な超音波ビームが得られる.ともに7個の振動子は独立に送受信でき,超音波ビーム方向の独立な測定チャンネル数20チャンネルと併せて,胎児付近のドプラ信号を140チャンネル同時に記録できるようになっている.なお超音波ビーム方向の分解能は9mmと4.5mmが選択可能である.記録データは付属のPCに転送されるが,保存できるデータは,元信号,生体組織の変位変動推定データ,胎児心拍数推定データが選択できる.また保存データに対するオフライン処理として短時間解析スペクトラム,任意遮断周波数でのフィルタリング,MATLABへのデータ読み込みが可能である.
【まとめ】
本装置はCTGと同様に,母体腹壁に超音波トランスジューサを固定して長時間胎児データを収集することを目的としているが,記録された胎児データと胎児Well being評価との関連性については今後の検討課題である.本装置のデジタル信号処理部は書き換え可能な専用LSIで構成しているために,超音波振動子の配置や個数,超音波の送受信シーケンスや検波後の信号処理なども要求に合わせて変更可能で,今後,胎児Well beingの新たな評価法の検討のために装置の改善,データ解析方法や表示方法等について検討していきたい.