Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科:胎児

(S506)

胎児期における静脈菅の自然閉鎖に関する考察

Consideration of spontaneous occlusion of ductus venosus in prenatal

小谷 よしみ1, 川滝 元良2, 井上 裕美3, 後藤 正寿4

Yoshimi KOTANI1, Motoyoshi KAWATAKI2, Hiromi INOUE3, Masatoshi GOTOU4

1湘南鎌倉総合病院生理検査室, 2神奈川県立こども医療センター周産期医療部新生児科, 3湘南鎌倉総合病院産婦人科, 4湘南鎌倉総合病院生理検査室

1Room of Physiological exam.,Shounan Kamakura General Hospital, 2Neonatalogy,Kanagawa Chirdren Medical Center, 3Obstetorics and Gynecology,Shounan Kamakura General Hospital, 4Room of Physiological exam,Shounan Kamakura General Hospital

キーワード :

静脈菅は胎内循環を説明する時にかかせない胎児期独特の短絡血管の一つである.
今までは先天的な欠損は報告されていたが,胎児期に自然閉塞すると報告されたのは2008年の日本胎児心臓病学会で報告された小谷・川滝らの症例が初めてである.静脈菅を流れる血流は 妊娠中期までは 臍帯静脈からの血流の約30% 妊娠後期では約20%といわれている.2008年に発表した症例を契機に 今回われわれは日常検査で静脈菅が描出困難な症例に関して,静脈菅が自然に閉塞したのではないかと想定し,検討した.
対象は2008年に湘南鎌倉総合病院産婦人科外来で超音波検査を施行した1874人の妊婦で うち,2008年12月末までに分娩された1064人とした.妊娠中期には描出されていた静脈菅が 妊娠後期に描出できなかったのは4例であった.最終的には静脈菅が閉塞したと考えられる週数は36週から41週であり,静脈菅と考えられる索状構造を描出するのみとなった.出生体重は2434gから3718g Apgar Scoreは4例とも1分後9点 5分後10点であった.いずれの症例も胎児期から新生児期まで通して無症状で ガスリーも陰性であった.
考察:静脈菅は出生後早期に閉塞する血管であり,本当に胎内で閉じたのかどうか検証するのは困難である.いずれの症例も無症状であったため,出生後に静脈菅の存在は確認しなかった.ただ,経時的な胎児の超音波検査において 明らかな血流は認めず索状構造を描出するのみであったことから 胎児期に閉塞した可能性は高いと推測される.先天性の静脈菅欠損に関する文献にも妊娠中・後期に診断のついた症例は予後が良好という報告もあり 胎児期における静脈菅の自然な閉塞は臨床的な意義が乏しいのかもしれない.