Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科:産婦人科

(S503)

静電容量型加速度センサーによる胎動モニタリングのための基礎的研究

The agreement between fetal movements observed by ultrasonography and those detected by a newly developed electrostatic capacity sensor

松本 幸代1, 梁 栄治1, 鎌田 英男1, 松本 泰弘1, 田口 彰則1, 木戸 浩一郎1, 西原 京子2, 綾部 琢哉1

Sachiyo MATSUMOTO1, Eiji RYO1, Hideo KAMATA1, Yasuhiro MATSUMOTO1, Akinori TAGUCHI1, Koichiro KIDO1, Kyoko NISHIHARA2, Takuya AYABE1

1帝京大学産婦人科, 2東京都精神医学総合研究所睡眠障害研究部門

1Department of Obstetrics & Gynecology,Teikyo University,School of Medicine, 2Department of Sleep Disorders Research,Tokyo Institute of Psychiatry

キーワード :

【目的】
fetal movementは胎児well-beingを評価するための有力な指標であるが,現在,家庭で客観的にモニターする実用的な方法はない.静電容量型加速度センサーは,母体腹壁の振動を高感度に感知し,それによってfetal movementをモニターすることを目的として開発された.妊婦の胎動自覚とよく一致することは報告されている1)が,客観的なfetal movementとどの程度一致するかについてはデータがない.実用化を視野にいれて,超音波断層法によるfetal movementとの一致度を検討した.
【方法】
平成19年2月から翌年3月まで当院を受診した正常経過の妊婦14例を対象とし,1回あたり30分間の検査を計45回行った.妊婦を半坐位とし,胎動の自覚があった場合に記録するよう指示した.妊婦の腹部に直径2.8 p,20gの円盤状の加速度センサーを,妊婦が最も胎動を感じる部分(センサーA)とその対側(センサーB)に1つずつ両面テープで装着した.また超音波断層装置のプローブを,胎児の躯幹と大腿部が一画面に描写されるように固定し,fetal gross movementを画像で観察し記録した.さらに,母体由来の振動を記録することを目的として妊婦の心電図と呼吸をモニターした.以上の記録を10秒毎,1回の検査あたり約180,計約8100のデータとして,超音波断層法によるfetal gross movement,加速度センサーによる振動,胎動自覚の3者の間での一致度と,加速度センサーの検査精度を検討した.一致度はprevalence-adjusted bias-adjusted kappa (PABAK) testによって計算した.本研究は帝京大学倫理委員会の承認を受け,書面によってinformed consentを得た妊婦の協力を得て行った.
【成績】
センサーAと超音波断層法によるfetal gross movementの一致度は,妊娠20〜23週 (n=6),24〜31週 (n=21),32〜40週 (n=18)でそれぞれPABAK値として0.637,0.784,0.801であった.同様にセンサーBでは0.552,0.759,0.785.妊婦の胎動自覚では0.324,0.613,0.728であった.検査精度としてセンサーAの感度は0.729,0.849,0.848,特異度は0.899,0.915,0.916.センサーBの感度は0.638,0.824,0.811,特異度は0.901,0.909,0.916であった.
【結論】
加速度センサーとfetal gross movementとの一致度は,胎動を強く感じる場所に装着した場合,対側に装着した場合ともに,妊婦の胎動自覚との一致度より高いことが示された.本センサーは家庭での長時間胎動モニタリングに実用的であることが示唆された.
【文献】
 1)Nishihara K. et al. A long-term monitoring of fetal movement at home using a newly developed sensor: An introduction of maternal micro-arousals evoked by fetal movement during maternal sleep. Early Human Dev. 84,595-603.2008