Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
消化器:肝

(S494)

Rendu-Osler-Weber病の一例

A case of Rendu-Osler-Weber disease

末永 雅子1, 平賀 真雄2, 中村 克也2, 坂口 右己2, 畠中 尚美1, 佐々木 崇2, 重田 浩一朗3

Masako SENAGA1, Masao HIRAGA2, Katuya NAKAMURA2, Yuuki SAKAGUCHI2, Naomi HATANAKA1, Takashi SASAKI2, Kouichirou SHIGETA3

1霧島市立医師会医療センター臨床検査科, 2霧島市立医師会医療センター放射線科, 3霧島市立医師会医療センター消化器内科

1Clinical Laboratory,Kirisima Medical Center, 2Radiology,Kirisima Medical Center, 3Gastroenterology,Kirisima Medical Center

キーワード :

【はじめに】
Rendu-Osler-Weber病は遺伝性出血性毛細血管拡張症とも呼ばれ,常染色体優性の遺伝性疾患で全身の血管形成異常と反復する出血を主徴とする比較的まれな疾患である.今回我々はOsler病の一例を経験したので報告する.
【症例】
82歳,女性.
【自覚症状及び家族歴】
特記事項なし
【現病歴】
以前より心不全にて当院循環器内科にて加療中であったが2008年10月,人工膝関節置換術のため術前検査目的で心臓超音波検査を施行したところ左右肝内胆管の拡張がみられたため精査目的で腹部超音波検査を施行することとなった.
【超音波所見】
肝実質は特記所見なし.左右の肝内胆管から肝門部を中心に著明に拡張した管腔構造がみられカラードプラにてVmax=179cm/sの拍動波が観察された.門脈の拡張はみられず逆流,異常拍動波も認められなかった.ソナゾイドによる造影超音波検査にて早い段階で肝動脈から肝静脈へ造影剤の流入が認められ,2〜3分後目では肝静脈のshunt部に豊富な血流を認めた.
【CT所見】
造影早期から肝動脈の拡張がみられ,肝静脈の描出も比較的早期に認められ,肝静脈奇形が疑われた.
【臨床経過】
上部消化管内視鏡検査及び耳鼻科受診にて口腔内や胃内等に多数の軽度毛細血管拡張も認められた事や,超音波およびCT所見の結果からRendu-Osler-Weber病と診断した.心不全は内服でコントロール可能であり,他臓器病変の合併は見られなかったため整形外科手術施行後退院となり現在外来にて経過観察中である.
【考察】
Rendu-Osler-Weber病の発症頻度は10万人に1〜2人と稀な疾患で8〜31%で何らかの肝障害が合併するとされており,A-V shuntが高度だと心不全が,P-V shuntが高度だと肝脳症が生じることもある.本症例では腹部超音波検査でカラードプラ,FFT解析,造影超音波を施行することで肝内の異常血行動態の詳細を知ることが可能であり,診断に有用であった.