Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
循環器:症例4

(S482)

リアルタイム3次元経食道心エコーにより大動脈硬化病変を観察し得た2症例

Two cases of aortic atherosclerosis using real time 3D transesophageal echocardiography

本田 俊雄

Toshio HONDA

和昌会貞本病院内科・循環器科

Internal Medicine, Cardiovascular Medicine, Assistant Hospital Director

キーワード :

[はじめに]解剖学的に食道は胸部下行大動脈の直近にあり,側方を併走しているため,経食道心エコー法は胸部下行大動脈から大動脈弓部の観察に適している.従来から,2次元経食道心エコー法が主に使用されてきたが,近年,リアルタイム3次元経食道心エコー法が開発され,3次元動画像による観察が可能になった.今回,我々は,リアルタイム3次元経食道心エコー法により大動脈可動性動脈硬化病変や潰瘍性病変を観察し得た症例を経験したので報告する.
[症例1]77歳,女性.脳梗塞を発症し,入院した.脳塞栓の可能性が否定できず,塞栓源検索のため,経食道心エコーを施行した.左心耳を含めて心内に塞栓源を疑わせる所見は得られなかったが,経食道心エコーで胸部下行大動脈から大動脈弓部にかけて内腔に突出する凹凸不整の粥腫(プラーク)を認めた.表層の一部は可動性を有していた.Live 3D画像により高度に凹凸不整をきたした大動脈内壁が広範囲に存在することが明らかとなった.また,小フラップ状構造を呈し,可動性プラークと思われる部位についても詳細な形状の把握や計測が行えた.Stacked Contours法による測定では可動部の大きさは 6.8 mm× 3.7 mm×1.6 mmで容積は 0.04 cm3であった.
[症例2]67歳,男性.脳梗塞の既往があり,胸部下行大動脈硬化病変が疑われたため,経食道心エコーを施行した.経食道心エコー上,大動脈弓部および胸部下行大動脈に高度の動脈硬化性病変を認めた.可動性プラークおよび潰瘍性病変を認めた.Live 3D画像により同病変の形状や広がりを観察し得た.Stacked Contours法による計測では,可動部は 3.0 mm×3.0 mm×2.6 mmで容積は 0.02 cm3であった.また,潰瘍部は 10.6 mm×8.9 mm×3.3 mmで面積 0.8 cm2,容積 0.16 cm3であった.
[まとめ]2次元経食道心エコー法に加えてリアルタイム3次元経食道心エコー法を追加することにより,大動脈弓部から胸部下行大動脈の動脈硬化病変をより詳細に観察し得た.可動性プラークや潰瘍性病変は塞栓源となる可能性が指摘されている.今後,同病変の形状や大きさ等の詳細な観察症例を蓄積することにより,塞栓症の発症予測,重症度予測や予防につながる知見が得られることが期待される.