Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
循環器:症例4

(S482)

インターネットを用いた心エコーの遠隔配信による左室壁運動の評価

Inter- and Intraobserver agreement on echocardiographic left ventricular wall motion analysis supported by internet picture viewing system

宮口 克之1, 平野 豊2, 水野 靖子3, 小谷 敦志2, 辻 裕美子2, 橋本 三紀恵2, 後藤 千鶴2, 中村 京子2, 河野 ふみえ2

Katsuyuki MIYAGUCHI1, Yutaka HIRANO2, yasuko MIZUNO3, Atushi KOTANI2, Yumiko TUJI2, Mikie HASIMOTO2, Tizuru GOTOU2, Kyouko Nakamura2, Humie KONO2

1奈良友紘会病院臨床検査部, 2近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部, 3友紘会総合病院生理検査室

1Department of Laboratory, Nara Yukokai Hospital, 2Department of Cental Laboratory, Kinki University Hospital, 3Physiolosical Laboratory, Yukokai General  Hospital

キーワード :

背景;心エコー法の壁運動評価は現在も半定量的スコアリング法により行なわれることが多いので,検者間で判定に差が生まれことが指摘されている.心エコーの壁運動評価法の習得には,経験者に直接指導を受けるのが最も近道ではあるが,施設により経験者が不在である事もある.一方近年,デジタル配信技術の進歩により動画をインターネットにのせて通信することが可能となってきており,遠隔地から配信された画像を見ながら手術の指導などが行なわれるようになって来ている.
目的;断層心エコー動画像をインターネットを用いて配信し,多施設の超音波検査技師間での左室壁運動評価がどの程度一致するかを検討する.
方法;傍胸骨長軸断層像,短軸断層像,および心尖4腔像,2腔像の4断面について1心周期の動画をデジタル保存した.各症例の4断面をWebサイト上に動画で掲載し,インターネットを通じて3施設に配信した.患者情報を知らない超音波検査技師[検者A(経験年数10年),検者B(経験年数7年),検者C(経験年数4年)]が別々に壁運動の評価を行い,経験20年の超音波専門医の評価した結果と比較した.壁運動評価は米国心エコー図学会の推奨に従い,傍胸骨長軸断層像を4セグメント,傍胸骨短軸断層像,心尖4腔像,心尖2腔像を各々6セグメントに分割して,各々にNormokinesis, Hypokinesis, Akinesis, Dyskinesisの4段階スコアリングを行った.その後,壁運動の評価方法について超音波専門医とデスカッションをした後で,1か月後に同画像を再評価した.
結果;1.インターネットで配信された画像の壁運動評価は,全例評価可能であったが,24セグメントは画質不良のため評価対象から削除した.2.超音波専門医との一致率は,3検者間でそれぞれ 82%,69%,55%であった.3.1か月後の再度評価での一致率は83%,75%,63%であり,いずれも診断一致率の改善がみられた.
結語;左室壁運動評価は各施設の検査技師の間で異なる可能性がある.施設間および施設内の評価一致のための教育に,インターネット介した動画像は有用であった.