Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
循環器:症例3

(S477)

坑凝固療法開始後に左房内血栓を生じた僧帽弁狭窄症の一例

Left atrial thrombus formation just after starting the anticoagulant therapy with heparin and warfarin

富田 純子1, 畠山 裕士2, 氏原 好恵2, 佐藤 千佳子2, 岡田 圭子2, 谷岡 晴子1, 小野 彰範1, 新谷 憲治1

Junko TOMITA1, Hiroshi HATAKEYAMA2, Yoshie UJIHARA2, Tikako SATOU2, Keiko OKADA2, Haruko TANIOKA1, Akinori ONO1, Kenji NIIYA1

1笠岡市立市民病院内科, 2笠岡市立市民病院生理検査室

1Department of Internal Medicine, Kasaoka City Hospital, 2Department of Physical Laboratory, Kasaokia City Hospital

キーワード :

【症例】
64歳女性.既往歴:特記事項なし.
3年前検診で不整脈を指摘されるが,特に問題なしといわれ,経過観察していた.平成20年1月頃より労作時の呼吸困難を自覚していた.2月に肺検診で肺血管影の増強を指摘され,精査のため3月25日来院.心電図は心房細動であった.経胸壁心エコー検査では,LVDd44mm,LVDs34mm,LAD 55mm,AoD 29nm,EF 46%.断層像にて,僧帽弁の可動制限を認め,弁口面積はplanimetry で1.88cm2,僧帽弁狭窄症(中等度)と診断された.カラードップラー法ではMR(重症),TR(重症:TRPG 64.5mmHg)を認めた.LAA内の血栓ははっきりしなかった.
3月26日精査加療目的で入院.D-dimer3.7.へパリン持続点滴,ワーファリン,利尿剤,ARB投与を開始した.4月1日心エコー検査再検.LAA内に血栓(23.2×40.9mm)認めた.血小板の減少はなかった.4月3日転院.緊急手術を施行された(僧帽弁置換術,左心耳縫縮術,血栓除去術,三尖弁形成術).血栓は左心耳から左房内に進展し,容易に崩れる新生の血栓であった.根部のみ白色で器質化していた.また,僧帽弁は全体が肥厚し可動性が低下していた.術後,経過は順調であった.
【考察】
左房内血栓は僧帽弁狭窄症に見られる合併症で,心エコー検査上常に念頭に置いて考えなければならない.本症例は,当初認められなかった血栓が,抗凝固療法開始後の経胸壁エコーで見つかったものである.左心耳は開大しており,経胸壁心エコーでも観察は可能であった.今回,短時間の間に形成された血栓を経胸壁心エコーで観察できた症例を経験したので報告する.