Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
循環器:症例1

(S471)

小児に発生した三尖弁乳頭状線維弾性腫の1例

A case of cardiac papillary fibroelastoma located on the tricuspid valve in child

三原 千博1, 松村 誠2, 三村 優子1, 山本 哲也1, 数野 直美1, 岡原 千鶴1, 先崎 秀明3

Chihiro MIHARA1, Makoto MATUMURA2, Yuuko MIMURA1, Tetuya YAMAMOTO1, Naomi KAZUNO1, Thizuru OKAHARA1, Hideaki SENZAKI3

1埼玉医科大学国際医療センター中央検査部, 2埼玉医科大学国際医療センター心臓内科, 3埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科

1Clinical Laboratory, Saitama Medical University International Medical Center, 2Cardiology Department, Saitama Medical University International Medical Center, 3Pediatric Cardiology Department, Saitama Medical University International Medical Center

キーワード :

【はじめに】
心臓の乳頭状線維弾性腫はしばしば塞栓症を引き起こす腫瘍として知られている.左心系に発生した場合や成人例では積極的に手術治療が行われるため,多数,報告されているが,右心系あるいは小児例での報告は極めて少ない.今回,学校検診で心雑音を指摘され,心エコー検査にて発見された小児の三尖弁乳頭状線維弾性腫の1例を経験したので報告する.
【症例】
10歳,女児
【現病歴】
学校検診で初めて心雑音を指摘され,近医を受診した.心エコー検査で右室内に腫瘤を認め,1ヶ月後,腫瘤が増大してきたため精査目的で当院入院.
【検査所見と経過】
心電図は洞調律で心拍数68/分,胸部X線では心拡大なく(CTR=50%),肺血管陰影の増強を認めなかった.血液検査では炎症所見(-).血液培養陰性であった.心エコー検査では右室内に可動性の腫瘤(17×14mm)を検出した.付着部位は三尖弁あるいは弁下の右室前壁であり,腫瘤は柔らかく有茎性で内部はほぼ均一でやや高輝度エコーを呈していた.三尖弁逆流は軽度で僧帽弁逆流と大動脈弁逆流は検出されなかった.肺高血圧や右心負荷所見は認められなかった.右室内腫瘤は1ヶ月という短期間で増大したため腫瘍または疣腫が疑われたが,感染や発熱の既往,炎症所見がなく血液培養も陰性であることから疣腫よりも腫瘍が強く疑われた.心エコーでは腫瘤は有茎性で振り子様運動,内部に低輝度エコー領域を有し,粘液腫に類似していた.しかし,辺縁部に小さな斑状所見“stippled pattern”が観察され,また,MRIでは脂肪組織の少ないことから,腫瘍の中では乳頭状線維弾性腫が最も強く疑われた.
【手術及び病理所見】
塞栓症の危険があることから外科手術(腫瘍摘出術及び三尖弁形成術)を行った.術中所見では腫瘍は細かい乳頭様突起に覆われていてほぼ球形,大きさは12x12mmであった.発生部位は三尖弁(前尖から後尖)で腱索は正常であった.病理組織診断は非典型例ではあるが乳頭状線維弾性腫であった.