Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
基礎:基礎

(S466)

NIPAゲルによるキャビテーション評価のための血管模擬ファントム

Mimick blood vessel phantom with NIPA gels for cavitation evaluation

高橋 悠二, 川元 秀昭, 井野口 博輝, 山越 芳樹, 三輪 空司

Yuuji TAKAHASHI, Hideaki KAWAMOTO, Hiroki INOGUCHI, Yoshiki YAMAKOSHI, Takashi MIWA

群馬大学大学院工学研究科電気電子工学専攻

Electronic Engineering, Graduate school of Gunma University, Faculty of Engineering

キーワード :

【目的】
 超音波により引き起こされた微小気泡のキャビテーションを用いるソノポレーションでは,細胞への薬液導入効果(Efficacy)の判定が手法を開発する上で重要になる.従来Efficacy判定のために培養細胞が主に用いられてきているが,この方法では得られた結果が直接Efficacy評価に繋がるという利点があるものの,超音波照射シーケンスの最適化など種々の超音波照射条件を実験的に検討しようとすると血管を模擬したファントムが必要になる.今回,高分子ゲルであるNIPAゲルを用いて血管の模擬ファントムを作成し,超音波造影剤気泡を導入し高音圧の超音波パルスを照射したときのファントム表面の形状変化を観測したので報告する.
【実験試料】
 試料ゲルは以下の方法で作成した.主鎖としてNIPA:3.395g,架橋剤としてN-MBAA:0.093g,反応開始剤としてAPS:0.0135g,を超純水30mlに加え攪拌し,酸素を除去するために窒素バブリングを40分行った.この後反応促進剤としてTEMED:30μlを加えた.2枚のガラス板(シリコンゴムがスペーサー)の間に血管の模擬として直径2mmのガラス棒を入れ上記溶液を室温で18時間放置しゲル化させた.ゲル化後水中に4日間放置して溶媒を交換した.このゲルは透明であり音速は1539m/s.(σ=10.5m/s.),密度1.025g/cm3(σ=0.009g/cm3)であった.APSの量を変えることで音速が変化できることも確認した.
【実験方法】
ファントムの流路内に流速1.6mm/s.で超音波造影剤気泡(レボビスト)を流し,流路下部の2つの凹面型超音波振動子から超音波を放射した.まず気泡を流路内面に超音波(周波数2.5MHz,音圧50kPa)で捕捉させた後,キャビテーションを起こすためのバースト超音波(周波数2.5MHz,音圧1.5MPa,波数10,000)を照射した.実験後,ファントムを切断し光学顕微鏡で内面観察を行った.
【結果】
 図にキャビテーション後のファントム表面を示す.損傷の無いファントム表面が気泡の付着部分において損傷している様子が確認できた.NIPAゲルは製作が容易で,加工性,保存性もよく,音響インピーダンスが生体に近く,光学観察が容易であるなどソノポレーション評価用の血管模擬ファントムとして適していると言える.