Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
基礎:基礎

(S466)

AE効果を用いた組織内電気現象のジュール熱分布イメージング

Imaging of Joule’s heat map generated due to internal electric phenomena using acousto-electric effect

炭 親良

Chikayoshi SUMI

上智大学理工学部情報理工学科

Information and Communication Sciences, Sophia University

キーワード :

 我々は,組織内の電流や電気物性の分布を非侵襲的に再構成するための電磁気学的に逆解析する技法の開発を行っている[例えば1].この種の報告には長い歴史があり,Bioelectromagnetismの一つの分野を成すものであるが,我々には,例えば,SQUIDやMRを用いて組織内の電流密度ベクトルmapに続いてさらに電気物性を再構成することを提案した業績がある.その方法は,対象内に固有の電流場が存在する場合には,in situの再構成も可能であることを特徴としている.従って,培養下などの神経回路網だけでなく,脳,心臓,筋肉などの電気活動や特性の非侵襲的な計測も可能である.
 これに対して,近年,感度理論とAcousto-electric (AE) effect[2]を用いて組織内部の電流やダイポールをmap化することが報告された.具体的には,超音波印加時に電極を用いて検出されるAE電位信号を用いて心臓や神経の電気活動がモニタリングされた.しかし,その際には,導電率の均質性などを仮定する必要があった.
 本稿では,それらの方法を手短に紹介すると共に,その様な電磁気現象および電気物性の分布をより少ない仮定の下で精度よく可視化する新しいAE技法を報告する[2].該技法は,前述の様に組織内を流れる電流により生じるジュール熱消費のmapを対象の電気物性の均質性に依らずに非侵襲的に計測できる特徴がある.対象に添えた電極にて電力の時系列を,超音波パルスエコー信号(フレーム)と同期して計測すればよい.
 gelベースのNaClファントムにおいて得られた結果を報告する.電力計測において,該計測用にトランスデューサはその遮蔽性能を向上させる必要があることが確認されたが,対象に非接触に近傍で観測された電位信号を差し引いてAE信号を処理する一つの有効な方法が確認された.
 前述の電磁気学的アプローチで得られる電流密度のmapは低空間分解能であるが,AE技法のそれは使用された超音波パルスの点拡がり関数(PSF)で決まるため,実時間性があり簡便であることと併せ,画期的で有用な生体電気計測技法となることが期待される.
[1]C. Sumi et al, “Reconstruction of 3-diemsional distributions of tangential current density components using volume magnetic vector,” in Biomagnetism Transdisciplinary research and exploration, pp. 56-58, Hokkaido University Press, 2008.
[2]炭他,第23回日本生体磁気学会大会論文集, 202-203, 2008年.