Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般ポスター
基礎:基礎

(S465)

横方向余弦変調と組織変位ベクトル計測の実現する次世代超音波診断装置

Next-generation ultrasound diagnosis equipment realized by lateral cosine modulation and tissue vector measurement

炭 親良

Chikayoshi SUMI

上智大学理工学部情報理工学科

Information and Communication Sciences,Sophia University

キーワード :

我々は,横方向余弦変調法[1]と実時間組織変位ベクトル計測法(多次元自己相関法[例えば2],多次元ドプラ法[2],多次元クロススペクトラム位相勾配法[3])を開発した.いずれも,連立方程式を解くことにより全方向の変位成分を同時に求めることができるのだが,前者2つの方法は多次元解析信号を用いて評価できる瞬時位相を用いるのに対して,後者は局所の位相特性に着目してクロススペクトラムの位相を用いる.我々が1994年に報告した位相マッチング法[3]により,ビームから外れる組織の動きでも,通常の1方向の変位計測法(例えば,自己相関法)を用いてビーム方向の変位や歪は高精度に計測できる様になった.しかし,これらの変位ベクトル計測法は,対象の動きの方向を全く考える必要なしに,トランスデューサを体にあてるのみで任意方向の動きによる変位ベクトルと歪テンソルの計測を可能とする[4,5].我々は,これらの計測方法を体表組織はもとより心臓や肝などの動きを制御できない深部の組織の弾性計測に使用すると共に,通常では計測精度の得られない体表に平行して走行している血管内の血流や心腔内の血流ベクトルの高精度計測にも応用している.また,これら組織の粘弾性率の高精度計測まで行っている[4,5].そもそも,横方向に変調する方法は,レーダーの分野に存在した方法であり,AndersonやJensenらの各グループにより1998年に血流計測に応用された.以後,我々は正弦変調ではなく余弦変調することを特徴とし,さらに,受信時のみならず送信時にも変調を行うことで変調周波数を2倍にせしめ,また,アポダイゼーション関数の形状を最適化理論を用いて決めるなどして広帯域化もはかり,歪と歪レートのテンソル計測までをも高精度化した.彼らの報告では,各方向に検波して搬送周波数のある残りの方向に1方向の変位計測法を用いるものであったが,信号のコヒーレンス性から我々のベクトル計測法の精度には及ばない.我々は,余弦変調を特徴として先駆的にBモードイメージングにも成功している[4,5].現在,実現している装置とファントム実験の結果を報告する.前から報告している通り,横方向変調法は次世代超音波診断装置の根幹となる技術になるものと考えており,今後,更なる発展および応用が期待される.
[1]炭,“スキャン方向変調による組織内変位ベクトルの高精度計測,” 日音響秋研究発表会論文集,1353-1354, 2004年.
[2]C. Sumi, “Displacement vector measurement using instantaneous ultrasound signal phase —Multidimensional autocorrelation and Doppler methods,” IEEE Trans UFFC, 55, 24-43, Jan 2008.
[3]C. Sumi et al, UMB (7th Congress of WFUMB), 20(Suppl 1), 14-4, 1994.
[4]C. Sumi et al, “Comparison of parabolic and Gaussian lateral cosine modulations in ultrasound imaging, displacement vector measurement, and elasticity measurement,” Jpn J Appl Phys, 47(5B), 4137-4144, May 2008.
[5]C. Sumi et al, “Effective lateral modulations with applications to shear modulus reconstruction using displacement vector measurement,” IEEE Trans UFFC, 55, 2607-2625, 2008.