Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科2

(S459)

臨床的寛解を達成した関節リウマチ患者における筋骨格系超音波検査について

Profile of musculoskeletal ultrasonography findings in patients achieved clinical remission with rheumatoid arthritis.

井畑 淳, 上原 武晃, 寒川 整, 高瀬 薫, 浜 真麻, 桐野 洋平, 上田 敦久, 須田 昭子, 岳野 光洋, 石ヶ坪 良明

Atsushi IHATA, Takeaki UEHARA, Sei SAMUKAWA, Kaoru TAKASE, Maasa HAMA, Yohei KIRINO, Atsuhisa UEDA, Akiko SUDA, Mitsuhiro TAKENO, Yoshiaki ISHIGATSUBO

横浜市立大学大学院医学研究科病態免疫制御内科学

Internal Medicine and Clinical Immunology, Yokohama City University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景】
近年の関節リウマチの治療の進歩は目覚しく,炎症マーカー,理学所見において正常とみなしうる症例も珍しいものではなくなった.現在最も興味深い点は臨床的寛解を呈する患者の予後である.これらの患者の関節内の炎症について解析することは長期予後を正確に判定するためにも重要なことであろうと考えられる.
【目的】
筋骨格系超音波検査を用いて関節リウマチ寛解患者における滑膜炎スコア,血流スコアを測定し,その特徴について評価すること.
【対象】
2002年5月から2007年12月までに当科を受診した関節リウマチ患者214例.
【方法】
対象症例のうちDAS(Disease Activity Score)28にて寛解と判定される2.6以下の32症例に対し2,3MCP,2PIP関節背側から12.5MHzの探触子により縦断走査を行い,中手骨または基節骨皮質から低エコー域を測定した.上記関節に加え手,膝関節においてpower Dopplerを用いて血流を測定,Weidekammらの方法によりスコア化した.超音波検査は主に3人の熟練した医師によってなされ,2人以上のコンセンサスを得てスコアリングが行われた.滑膜炎を評価するスコアとして両2,3MCP,2PIP関節の低エコー域の合計値 (Synov6sum),両2,3MCP,2PIP関節,手,膝関節の血流スコアの合計値(Vasc10sum)を用いた.
【結果】
関節リウマチ寛解患者におけるSynov6sumは5.48±0.41mm, Vasc10sumは4.50±0.85であった.正常人100名におけるSynov6sum,Vasc10sumの平均値はそれぞれ4.61±0.13,1.46±0.28であり,その±2SDの範囲である1.93−7.29mm,−4.04−6.96を逸脱する範囲に位置する症例はそれぞれ7症例,8症例であった.滑膜炎のスコアリングと治療内容との関係は明らかではなかった.
【結論】
関節リウマチ寛解患者における超音波所見は滑膜炎がほぼ認められない群と残存している群の2つに分けられた.