Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科2

(S458)

スポーツ選手における膝蓋靭帯の厚さの計測

Measurement of patellar ligament with ultrasound in athlete

平林 伸治

Shinji HIRABAYASHI

大阪労災病院リハビリテーション

Rehabilitation Medicine, Osaka Rosai Hospital

キーワード :

(はじめに)膝蓋靭帯炎はスポーツを始めとして,繰り返し膝を屈伸することで発症する疾患である.ジヤンパー膝とも云われ膝蓋骨下極に近い部分の痛みが特徴的で,超音波診断による靭帯の評価が報告されている.疼痛部分の靭帯の肥厚を示すことで診断されている.しかしスポーツ選手では身体能力も高く,非スポーツ者より解剖学的にも靭帯は厚くなっていると推測されるので,特性を検討する必要がある.
 今回,運動能力の高いスポーツ選手で,スポーツを一定期間中止して臨床症状のない膝蓋靭帯の形態を超音波画像診断し厚さを計測した.
(対象)スポーツ選手のレベルは,①高校生は全国大会レベルの競技力を持つ者②大学生は体育会所属の運動選手③実業団選手などで競技を目的とし運動しているが,膝前十字靭帯損傷し手術目的で入院治療した50人を対象とした.男26人,女24人.①年齢;男平均22歳(17〜38),女平均19歳(16〜20).②身長cm(平均値±SD);男173.4±4.9,女160.2±5.8.③体重kg;男78.6±15.4,女58.6±8.2である.
靭帯の計測は非手術側の膝蓋靭帯を10MHz探触子で膝蓋骨下極から5mm と10mm遠位に長軸方向で行い,幅は遠位10mmで横方向に走査し計測した.(結果)膝蓋骨下極から5mm(A)と10mm(B)遠位で厚さ計測し,幅は遠位10mm(C)で計測した.(A)厚さ(平均値±SD)mm;男5.3±0.9,女4.2±0.6.(B)厚さmm;男4.8±0.7,女4.0±0.7.(C)幅mm;男34.2±3.5,女28.8±3.5であった.
身長・体重と(A)(B)(C)部分の厚さとの相関係数を検討した.男では身長と(B)0.56(C)0.52,体重と(B)0.57,女では身長と(C)0.65,体重と(C)0.62との間に関係があったが,それ以外の項目とは相関は低かった.
(考察)膝蓋靭帯の計測で体格とよく相関するのは厚さより幅であった.特に体格が大きいと考えられる体重90kg以上の選手は男性6人でその平均値は(A)5.7mm(B)5.4mm(C)37.1mmと男の平均値とそれぞれ1SDの差であった.
(結語)スポーツ選手の膝蓋靭帯の超音波画像による厚さと幅の計測を行った.男女間は厚さで約1mm,幅に約5mmの差を認めた.体格との関係は,厚さより幅に正の相関を認めた.