Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科1

(S457)

可搬型超音波診断装置を用いた足関節捻挫検診

Ultrasongraphic assessment for os subfibulare in elementary school childern.

松崎 正史1, 皆川 洋至2, 木島 泰明3, 富岡 立3, 大槻 宏芳4

Masashi MATSUZAKI1, Hiroshi MINAGAWA2, Hiroaki KIJIMA3, Tatsuru TOMIOKA3, Hiroyoshi OTSUKI4

1ソニックジャパン株式会社CEO, 2城東整形外科整形外科, 3秋田大学医学部神経運動器学講座整形外科分野, 4ソニックジャパン株式会社ウルトラサウンド事業部

1Chief Executive Officer, Sonic Japan Co., Ltd., Tokyo, Japan, 2Department of Orthopedic Surgery, Joto Orthopedic Surgery Clinic, Akita, Japan, 3Division of Orthopedic Surgery, Department of Neuro and Locomotor Science, Akita University School of Medicine, Akita, Japan, 4Department of Ultrasound Project, Sonic Japan Co., Ltd., Tokyo, Japan

キーワード :

【目的】
成長期の小学生に生じた前距腓靭帯損傷は,ほとんどが靭帯付着部である腓骨の剥離骨折である.本研究の目的は,スポーツ活動に参加している児童の,捻挫の発生頻度,その受療行動,さらに剥離骨片を有する児童の頻度を明らかにすることである.

【方法】
秋田県のスポーツ少年団交流会に参加した小学校5,6年生の児童81名162足関節を対象とした.男65名,女16名.事前に足関節捻挫の既往,受療行動についてアンケート調査を行い,直接検診では両足関節の前距腓靭帯に生じた剥離骨片の有無について観察した.前距腓靭帯の長軸断層像を描出し,上方凸で連続する線状高エコー像を正常,不連続な高エコー像を剥離骨片ありと評価した.超音波診断装置は,MyLab25(日立メディコ)および13MHzリニアプローブを用いた.

【結果】
足関節捻挫の既往があったものは27.2%(22/81人)で,受傷側は右9人,左9人,両側4人であった.足関節捻挫を受傷した後の受療行動は,「病院を受診した」3人,「整骨院へ行った」9人,「病院と整骨院の両方を受診した」4人,「そのまま様子をみた」6人で,整骨院受診率が59.1%(13/22人)と最も多かった.病院単独の受診率は13.6%(3/22人)に過ぎず,放置して経過観察された27.3%(6/22人)を下回った.一方,超音波検査で前距腓靭帯の付着部剥離骨片を認めたものは11.1%(9/81人)で,受傷側は右6人,左3人,両側0人であった.剥離骨片を認めたものの受療行動は,「病院を受診した」3人,「整骨院へ行った」5人,「病院と整骨院の両方を受診した」2人,「そのまま様子をみた」3人で,整骨院受診率が55.5%(5/9人)と最も多かった.病院単独の受診率は33.3%(3/9人)で,放置して経過観察されたものと同数であった.捻挫の記憶が全くなく,超音波画像上剥離骨片を認めたものが2人いた.

【結論】
スポーツ活動に参加している小学校高学年児童では,4人に1人が足関節捻挫を経験し,全体の1割に靭帯付着部の剥離骨片を認めた.足関節捻挫の半数以上が整骨院を受診し,整形外科単独で治療を受けたものは全体の1割に過ぎなかった.