Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科1

(S455)

RVSの関節画像への応用:超音波画像と3T MRIの同時並列表示

Virtual Sonography of the Joints: Simultaneous Display of the Sonogram and 3T-MRI

新津 守

Mamoru NIITSU

首都大学東京健康福祉学部放射線学科

Radiology, Tokyo Metropolitan University

キーワード :

【目的】
四肢関節の表在超音波画像と三次元撮像によるMR画像の同時表示を試みる.
【対象と方法】
超音波画像と三次元CT・MR画像を融合させるReal-time Virtual Sonography(RVS)法(日立メディコ)を関節画像に応用した.本手法は磁気発生器からの三次元空間位置情報を探触子に内臓した磁気センサーで感知する.この超音波画像の断面位置(x,y,z空間位置とx,y,z軸に対する回転角度)を,双方の座標系を変換,対比することで,事前に撮像した三次元画像から,同一の断面をリアルタイムに描出するものである.すでに多列CTによる三次元CTデータを用いて,肝腫瘍の位置確認などに臨床応用がなされている.
超音波診断装置はEUB-7500(日立メディコ),リニア型プローブ(6-14MHz),MRIはAchieva 3.0T(Philips),8-channel Knee coilを使用した.既往症のない成人男性の膝関節と肩関節の三次元MR画像を撮像し,そのDICOMデータを超音波診断装置のRVSシステムに移行,MRI撮像時と同様の肢位にて超音波画像を得た.
【結果と考察】
膝関節と肩関節の表在超音波画像に対応するMRI断面がほぼリアルタイムに表示できた.両者共に空間分解能は0.数mmのポテンシャルを有し,膝関節の内側側副靭帯(MCL)浅層と深層が超音波画像とMRIの両者で鑑別,確認可能であった.またMCL浅層と筋膜層の区別,MCL脛骨付着部の立体的構造の確認が可能であった.
表在超音波画像は高詳細画像が得られ,関節の微細構造描出には今後の応用が大いに期待されている.ただし関節の超音波画像は現在,広く普及したとは言えず,さらにその描出は術者の技量,つまりは解剖学的知識に大きく依存する.超音波画像断面を,すでに解剖学的に認識されているMR画像をリアルタイムに並列表示することにより,微細構造の把握,客観的評価が可能となり,初学者の教育にも有用とも思われる.
靭帯,半月板,軟骨など,微細な構成要素を有する関節画像の超音波とMRIの同時描出の精度は,初期ランドマーク設定に大きく左右される.この初期設定と操作中の微調整が今後の課題と考えられる.
【結論】
RVSを関節画像に応用し,超音波画像とMRIの同時並列表示が可能であった.