Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
頭部・眼科:頭頚部血管

(S451)

高脂血症と頚動脈プラークについて

The relation between hyperdipidemia and carotid artery plaque

西塚 望美1, 新江 明子1, 高橋 久美子1, 中鉢 由香1, 永井 俊一2

Nozomi NISHIZUKA1, Akiko ARAE1, Kumiko TAKAHASHI1, Yuka CHUBACHI1, Shunichi NAGAI2

1医療法人永井医院検査, 2医療法人永井医院循環器内科

1physiological laboratory, Nagai Clinic, 2cardiovascular internal medicine, Nagai Clinic

キーワード :

【はじめに】
頚動脈エコーを行っていると,LDLコレステロール(以下LDL)が高いにもかかわらず頚動脈にプラークがないか軽度の肥厚のみの患者が結構いるように感じる.LDLは動脈硬化の強力な危険因子として,2007年版動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも合併疾患や合併危険因子に応じ細かく管理目標値が設定されているが,頚動脈のような太い血管でLDLがプラーク形成にどれだけ関与しているかを検討した.
【目的】
高脂血症や他の危険因子と頚動脈プラークの関連を検討する.
【対象】
平成20年1月から11月までに高脂血症(以下HL)または高血圧症(以下HT),糖尿病(以下DM)の内服治療をしていて頚動脈エコーを行った803名(男性341名,女性462名,68.9±11.5歳).このうちHL単独(以下HL群)81名(64.5±11.6歳,LDL 114.2±30.3mg/dl),HT単独(以下HT群)378名(69.8±11.9歳,133.7±13.8/75.7±10.3域),DM単独(以下DM群)29名(67.3±12.7歳,HbA1c 6.3±0.9%)であった.複数の薬剤を内服しているものはHL+DM群31名(64.1±12.0歳),HL+HT群148名(69.7±10.6歳),DM+HT群62名(68.6±10.6歳),HL+DM+HT群74名(70.5±9.7歳)であった.
【方法】
頚動脈エコーで左右の総頚動脈,分岐部,内頚動脈の6か所のプラークを含む最も厚い部分の厚みの合計をプラークスコア(PS)とし,各群でPSと年齢の相関を調べ比較を行った.
【結果】
HL群(PS 5.1±1.8)はHT群(PS 6.1±2.6)よりも有意にPSが低く(p<0.001),またDM群(PS 6.3±2.7)よりも有意にPSが低かった(p=0.04).HL+HT群とHL+DM+HT群ではHL群よりも有意にPSが高かった(p<0.001).PSと年齢の間にはHL群ではr=0.42,DM群ではr=0.52,HT群ではr=0.40と正の相関を認めた.図に示すように45歳頃までは3群間にPSの差はないが,年齢があがるにしたがいHLのPSが低く,HLはHTやDMに比べプラークができにくいと考えられた.
【結語】
HLはHT,DMに比べ頚動脈プラークへの関与は小さいと考えられた.