Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
頭部・眼科:頭頚部血管

(S450)

頸部超音波検査による頭蓋内椎骨動脈評価 〜頭部MRA検査との比較検討〜

Evaluation of the vertebral arteries with extracranial Doppler sonography in nonstroke subject

工藤 陽子1, 椿森 省二1, 小川 真弓1, 辻本 欽英1, 前田 翔子1, 今北 哲2, 有澤 淳2

Yoko KUDO1, Shoji TSUBAKIMORI1, Mayumi OGAWA1, Yoshihide TSUJIMOTO1, Shoko MAEDA1, Satoshi IMAKITA2, Jun ARISAWA2

1ハイメディッククリニックWEST臨床検査課, 2ハイメディッククリニックWEST画像診断センター

1Clinical Laboratory, Himedic Clinic WEST, 2Diagnostic Imaging Center, Himedic Clinic WEST

キーワード :

【目的】
1.頭蓋内椎骨動脈評価における頸部超音波検査の有用性について頭部MRA検査結果と比較検討する.
2.頸部超音波検査による頭蓋内椎骨動脈評価の判定基準について検討する.
【対象および方法】
対象は頸部超音波検査を施行した無症候の検診受診者508名である(57±12歳).頭蓋内椎骨動脈(VA)を2群(N群:有意狭窄を認めないもの,P群:低形成性および動脈硬化性の狭窄・閉塞を認めるもの)に大別し,超音波検査と同日に施行した頭部MRA検査の結果を比較検討した.超音波検査によるVA評価は平均血流速度18cm/sec,平均血流速度比および血管径比(対側/目的側)ともに1.4を基準とした斎藤らの「VA閉塞部位診断のフローチャート」(Stroke.2004;35:1068-1072)に準じて行った.更に,診断能向上のための新たな判定基準の方向性についても検討を加えた.
【結果】
1.MRA検査ではN群438例,P群70例(低形成55例,動脈硬化性15例),超音波検査ではN群451例,P群57例(低形成32例,動脈硬化性25例)で,超音波検査による診断能は感度58.6%,特異度96.3%となった.
2.MRA検査との不一致例につきROC曲線等を用いた解析の結果,「平均血流速度24cm/sec未満かつ平均血流速度比・血管径比(対側/目的側)ともに1.4以上を低形成」とすることで感度72.9%,特異度95.0%となり,診断能の向上が得られた.
【考察】
頸部超音波検査によりVAを評価する方法として,2004年Strokeに掲載された斎藤らの論文が汎用されているが,この研究は主に急性期患者を対象にした「閉塞部位診断」を目的としている.今回,無症候例を対象に行った評価では,高度狭窄・閉塞の典型例において所見の一致を認めたが(図),対象全体で見ると特異度は高いものの感度が不良であった.その原因には「軽度の狭窄例」や「PICAの発達した例」で血流速度が基準値以下とならないことなどが考えられた.そこで無症候例を対象に,より適切な判定基準を検討した結果,低形成群に対する平均血流速度の基準値を24cm/secに設定することで,偽陰性が減り診断能の向上が得られた.
【結語】
頸部超音波検査において新しい判定基準を用いることで,無症候例の頭蓋内VAをより適切に評価できると考えられた.