Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
体表:体表・その他/造影

(S445)

Sonazoid造影超音波検査を施行し得た原発性肺癌の一例

Contrast-enhanced ultrasonography of lung cancer using sonazoid : A case report.

松本 直樹, 金子 英彰, 小川 眞広, 阿部 真久, 中河原 浩史, 廣井 喜一, 山本 敏樹, 田中 直英, 森山 光彦

Naoki MATSUMOTO, Hideaki KANEKO, Masahiro OGAWA, Masahisa ABE, Hiroshi NAKAGAWARA, Yoshikazu HIROI, Toshiki YAMAMOTO, Naohide TANAKA, Mitsuhiko MORIYAMA

駿河台日本大学病院内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Nihon University Surugadai Hospital

キーワード :

【症例】
77歳男性.陳旧性心筋梗塞のため,当院心臓血管外科通院中であった.1ヶ月前,スクリーニングの胸部X線検査で右上肺野に腫瘤影を指摘されたため,胸部CT施行したところ,右上葉に腫瘤を認められたため,精査目的で当科入院となった.既往歴:73歳 急性心筋梗塞(冠動脈バイパス術) 胸部造影CT:右S3a/S1b境界,胸膜直下に47mm大のlow density massを認め,造影効果を認めた.肺実質は小葉中心性肺気腫の所見であった.超音波検査(使用装置:LOGIQ7;GE横河メディカルシステム):右腋窩,胸膜直下に50mm,内部均一で扁平なhypoechoic massを認めた.Levovist投与後,連続送信で22秒後より腫瘍内部に信号が見られ,間欠送信としたところ腫瘍全体の濃染が認められた.肝にhypoechoic massが見られたため転移を疑いSonazoidで造影を行ったが,こちらは嚢胞の診断だった.肺腫瘍へのSonazoidの投与では,17秒後より肺側から腫瘍に流入する腫瘍血管を認め,30〜120秒後に中心の一部を除いて腫瘍の大部分に濃染を認めた.染影は4分後まで持続した.CTガイド下腫瘍生検の結果,扁平上皮癌であり,その後放射線療法を施行した.
【考察】
肺腫瘍の画像診断は一般にCTで行われることが多いが,腫瘍が胸壁や胸水中に存在するときは超音波検査も可能である.特に高周波プローブは空間分解能が高く,病変内部の性状や浸潤範囲の評価に有用である.造影超音波検査ではCTと比較して血流感度が高く,腫瘍血管も明瞭に描出された.肺腫瘍の造影超音波検査ではLevovist,Sonovueを用いた報告があるが,Sonazoidの報告はまだ無い.胸壁直下の腫瘍は浅部に存在するが,高周波プローブはLevovistに未対応であり,空間分解能,時間分解能ともSonazoidが有利である.また動脈相での血流の検出はSonazoidの方が速く,感度が良好なことも示唆された.今回,Sonazoidを用いて腫瘍内の血流を詳細に観察できた肺癌症例を経験したので報告した.