寺沢 良夫¹, 広田 むつ子², 須藤 誠二², 野村 禎子², 野村 幸宏², 鈴木 とよみ²

Toshio TERASAWA¹, Mutsuko HIROTA², Seiji SUTO², Yoshiko NOMURA², Yukihiro NOMURA², Toyomi SUZUKI²

¹仙台社会保険病院内科, ²仙台社会保険病院超音波検査室

¹Internal Medicine, Sendai Shakaihoken Hospital, ²Ultrasonic Laboratory, Sendai Shakaihoken Hospital

キーワード :

【はじめに】
腎癌（RCC）の膵転移症例は，早期診断と治療方針の決定が大切である．当院で手術により確定診断がついたRCCの膵転移例の診断，転移までの期間，予後について検討した．
【対象】
1984.4〜2008.12までの当院腎腫瘍手術例は1033人で，このうちRCCは989人（96％）で，膵転移手術例の5人（1人：他院手術）を対象とした．
【結果】
1，RCCの膵転移手術例：5人
2，RCCの主訴
　2人：検診US
　1人：血尿
　1人：胃潰瘍のUS，CT
　1人：不明（L.RCC他院手術）
3，RCCの摘出腫瘍径・膵転移手術までの期間
　摘出腫瘍径：不明：1人（他院手術例），膵転移手術までの期間：7Y10M，7cm（5Y7M），4.5cm（14Y3M），4.5cm（9Y5M），8.5cm（1Y）
4，転移膵癌の症状・診断・諸検査
　5人：無症状
　4人：RCC術後のUS検査
　1人：当院検診US（L.RCC他院手術例）
　Amy，肝機能，腫瘍マーカーに異常はみられない．
5，予後
　死亡：1人（RCCの転移死（膵・肝・肺），RCC術後7Y3M後，膵癌術後1Y8M後）
　生存：3人，RCC術後17Y9M（膵癌術後3Y6M），11Y11M（2Y6M），4Y1M（3Y1M）
　不明：1人，最終受診日1997.12.8，L.RCC術後12Y11M，膵癌術後5Y1Mまでは生存
【まとめ】
膵癌は予後不良例が多いが，当院におけるRCCの膵転移手術例の診断・予後について検討した．
1，RCCの膵転移手術例：5人
2，全例無症状で，USで検出．
3，原発RCCの摘出腫瘍径：4.5cm以上（4.5〜8.5cm，1人：不明，L.RCC他院手術例）
4，RCC術後膵転移までの期間：1Y〜14Y3M
5，予後
　生存：3人
　死亡：1人（RCC術後7Y3M，転移膵癌術後1Y8M後）
　不明：1人（最終受診日1997.12.8，L.RCC術後12Y11M，転移膵癌術後5Y1Mは生存）
6，4cm以上のRCCは術後15Y間は，USのfollowにより早期転移膵癌を検出し，手術により，予後の改善が期待できる．