Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
腎・泌尿器:腎・泌尿器2

(S434)

腎癌に対するソナゾイド造影超音波法の検討

Contrast ultrasonography with SONAZOID for diagnosis of renal cell carcinoma

尾上 篤志1, 能勢 和宏2, 西岡 伯2, 秋山 隆弘2

Atsushi ONOUE1, Kazuhiro NOSE2, Tsukasa NISHIOKA2, Takahiro AKIYAMA2

1恒進會病院腎臓病センター超音波室, 2近畿大学医学部堺病院泌尿器科

1Kidney Disease Center, Koushinkai Hospital, Ultrasonic Laboratory, 2Kinki University, Sakai Hospital, Departoment of Ulorogy

キーワード :

【はじめに】
 腎癌の超音波診断にとってレボビストによる造影法の登場は,それまでの超音波診断法を大きく変え,特に透析患者に発生する腎癌では,今まで判定保留で経過観察とされていたような小さな腫瘍でも造影による染影が得られることから,手術になる場合が多くなった.今回われわれは高音圧で微小気泡を破壊し造影するレボビスト造影法に対し中音圧で微小気泡を振動さすことで造影効果を発揮するソナゾイド造影超音波法を施行し腎癌診断の有用性を検討したので報告する.
【対象と方法】
 ソナゾイド造影超音波を施行後,手術にて腎癌が確認された7症例,8腎(うち1例2腎は透析患者に発生した両側腎癌)を対象とした.それらの症例の平均年齢は61±13歳(男性5例,女性2例),腎癌最大経4.4±3.1cmで,摘出された病理組織はclear cell carcinoma 6腎,papillary cell carcinoma 2腎であった.造影超音波はソナゾイド0.015mL/Kgを静脈内に投与し,投与直後から造影効果を観察した.使用装置は東芝社製SSA770A,3.5MHzコンベックス型探触子(PVT375BT)を用い,MI値は0.2〜0.3に設定した.
【結果】
 全ての腫瘍に明瞭な染影効果を認めた.その造影効果は,腎実質部と腫瘍部は時間経過に伴い同じ用に染影効果を認め,そのまま輝度が上昇して行くのが観察された.しかし,1腫瘍のみ腎実質部が先に染まり始め,腫瘍部は後から染影された.この腫瘍は腎実質から突出する大きさ1.3cmの最も小さな腎癌で,病理組織はclear cell carcinomaであった.
【考察】
 レボビスト造影法による腎癌と腎実質における造影効果をTime Intensity Curve(TIC)で検討したわれわれの結果では造影剤による輝度上昇の速さは腎実質と腎癌でほぼ同じ速度で染影され,腎実質と腎血管筋脂肪腫(AML)ではAMLの方が染影速度は遅い.今回の検討でも,7腎中6腎においてTICの結果と同様,腎癌と腎実質は同じような染影を呈し,ソナゾイドによる腎癌造影の典型的パターンであると考えられた.しかし,一方で,腎実質より明らかに染影が遅れる腎癌が1例存在したことから,さらに症例を重ね検討する必要があると思われた.