Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
腎・泌尿器:腎・泌尿器1

(S432)

バルーン法エラストグラフィーによる前立腺癌診断の検討

Usefulness of the balloon-inflation elastography in the diagnosis of prostate cancer

落合 厚1, 沖原 宏治2, 浮村 理2, 三木 恒治2, 西田 香織3

Atsushi OCHIAI1, Koji OKIHARA2, Osamu UKIMURA2, Tsuneharu MIKI2, Kaori NISHIDA3

1愛生会山科病院泌尿器科, 2京都府立医科大学泌尿器科, 3京都府立医科大学放射線科

1Urology, Aiseikai Yamashina Hospital, 2Urology, Kyoto Prefectural University of Medicine, 3Radiology, Kyoto Prefectural University of Medicine

キーワード :

背景:バルーン法を用いた経直腸的real-time tissue elastography(TRTE)は,これまでのフリーハンド圧迫法に比べ,圧迫断面のずれが抑制され,圧迫範囲の広角化などが可能となり,より安定した画像を得ることができるようになった.今回はバルーン法TRTEを用いて生検前の癌病巣検出能につき検討した.

対象と方法:前立腺針生検を予定された46例を対象とした.年齢とPSAの中央値 (IQR: interquartile range)は67歳(60-72歳),8.7 ng/ml (6.6-13.1ng/ml) .生検前に経直腸的超音波断層法B-mode,Power Doppler 法,バルーン法TRTEを行った.前立腺生検は経会陰的8か所生検と,必要に応じてdirected biopsyを追加した.5例はsaturation biopsyを受けた.超音波検査で検出された異常部位と前立腺生検での癌陽性部位とを比較した.

結果: 生検で18例(39%)が前立腺癌と診断された.癌病巣検出能はB-modeで61% ,Power Dopplerで44%,TRTEでは61%であった.B-modeまたはTRTEが陽性の場合66%,3者併用にて72%の癌病巣を検出した.B-modeでのhypoechoic areaに一致する領域でTRTEが陽性の場合の陽性的中率は83%であるのに対し,一致しない場合の陽性的中率は7%であった.

結論:バルーン法TRTEはこれまでのフリーハンド法にくらべ,安定した画像が得られた.TRTEはB-modeで検出不能な病巣を検出できる可能性があるが,偽陽性の割合も高く,検査手技,病変評価の標準化も含めてさらに検討が必要である.