Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
腎・泌尿器:腎・泌尿器1

(S431)

USガイド下前立腺生検法の改訂と,癌検出率改善の関与 −当院670症例の検討−

The relations of the improvement of the US-guided prostatic biopsy and the cancer detection rate, a clinical study of 670 biopsies.

徳光 正行1, 金子 茂男1, 増井 則昭1, 石田 裕則1, 水永 光博2, 宮部 智子3, 和田 絵里3, 神崎 こずえ3

Masayuki TOKUMITSU1, Shigeo KANEKO1, Noriaki MASUI1, Hironori ISHIDA1, Mitsuhiro MIZUNAGA2, Satoko MIYABE3, Eri WADA3, Kozue KANZAKI3

1仁友会北彩都病院泌尿器科, 2仁友会泌尿器科内科クリニック泌尿器科, 3仁友会北彩都病院臨床検査科

1Department of Urology, Kitasaito Hospital, 2Department of Urology, Jinyuukai Clinic, 3Department of Clinical Laboratory, Kitasaito Hospital

キーワード :

【緒言】
近年,泌尿器科悪性腫瘍症例は.他科の癌腫同様に増加の一途をたどっている.なかでも前立腺癌症例の増加は顕著であり,PSAによるスクリーニング検査の普及と,経直腸的超音波検査ガイドを含めた前立腺生検法の改良が,その増加に寄与していると推察される.今回我々は,当院におけるこの前立腺生検法の変遷と,前立腺癌検出率改善への関与について検討した.
【方法】
当院に保管されていた1994年1月以降の病理組織結果報告書の全てを調査した.そのうち,前立腺生検を行って確定病理診断の確認できた1994年4月より2008年3月(1995〜2007年度)までの13年間,670症例について retrospective に検討を行った.
【結果】
前立腺生検を受けた全症例について,平均年齢は71.9歳,癌検出率は48.7%であった.生検方法については,当初は直腸診下での経会陰式6カ所生検(以下,経会陰)が行われていたが,1999年度から次第にUSガイド下経直腸式6カ所生検(以下,経直6カ所)に移行していた.さらに2003年度からはEskewら1)の方法を改変したUSガイド下経直腸式5領域12カ所生検(以下,経直12カ所)に全面移行し,現在に至っている.経会陰は211例に,経直6カ所が147例に,経直12カ所が312例に施行されていた.これら3群間の年齢やPSA値の分布に有意差は認められなかった.しかし癌検出率については,それぞれ36.0%,49.7%,56.7%と,生検法の改訂にともない有意に改善していた.特にPSA値が4〜20gn/mlの症例において,その癌検出率の改善が顕著に認められた.
【考察】
前立腺生検において,これまで行ってきた経会陰式から経直腸式への生検経路の変更や,経直腸式USガイド下生検の導入,さらに6カ所から12カ所への生検本数の増加は,癌検出率,特にPSA20ng/ml以下の早期癌検出率の有意な向上に寄与していた.生検本数を増やせば癌検出率も改善するであろうことは予想し得るが,最近の欧米での報告では,12カ所以上の生検による癌検出率の著明な改善はあまり期待できず,その18・21カ所生検と,当院現行法の5領域12カ所生検の癌検出率には,症例背景は違うものの,大きな差は認められていない2,3).以上より当院では,現行法を今後も継続すべきであると考えているが,現在さらに,US ガイド下経直腸式5領域12カ所生検と5領域18カ所生検の prospective study を行っており,この仮説を検証中である.
【文献】
1. Eskew LA, et al., J. Urol. 157 : 199-203, 1997.
2. Guichard G, et al., Eur Urol. 52 : 430-435, 2007.
3. Scattoni V, et al., J Urol. 179 : 1327-1331, 2008.