Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
産婦人科:周産期・その他

(S427)

妊娠30週以下における頸管長短縮とtocolysisとの関連に関する検討

Relationship between cervical length shortening at ≦30 weeks’ gestation and tocolysis

吉里 俊幸1, 小濱 大嗣2, 野尻 剛志2, 大竹 良子2, 深見 達弥2, 宮本 新吾2

Toshiyuki YOSHIZATO1, Hirotsugu OBAMA2, Takeshi NOJIRI2, Yoshiko OTAKE2, Tatsuya FUKAMI2, Shingo MIYAMOTO2

1福岡大学病院総合周産期母子医療センター, 2福岡大学病院産婦人科

1Center for Maternal, Fetal and Neonatal Medicine, Fukuoka University Hospital, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Fukuoka University Hospital

キーワード :

【目的】
妊娠30週以下における頸管長短縮とtocolysisとの関連について検討することである.
【方法】
妊娠16週から経時的に経腟超音波断層法によって子宮頸管長(CL)を観察し,30週までにCL≦25mmとなった母体合併症のない単胎症例86例の中で頸管縫縮術を施行していない64例(初産婦:26例,経産婦:38例)を対象とした.CL計測は,妊娠16-19週に開始し,36週まで(35週以前の早産の場合は分娩前まで)期間に4週間毎に行った.CL≦25mmの場合,それ以降は1週間毎,CL≦15mmの場合,それ以降は1週間に2回の観察を行った.計測は超音波断層装置Aloka社製prosound 6(経腟プローブの中心周波数:7.5MHz)を用い,頸管の彎曲に沿って測定した.CL≦25mmの場合,CL計測後に胎児心拍数陣痛図を装着した.子宮収縮が頻発(30分間で3回以上の子宮収縮)した場合,入院管理とし,さらにその後子宮収縮の頻発を認めた場合,塩酸リトドリンand/or硫酸マグネシウムの持続点滴静注(tocolysis)を行った.tocolysis施行群(21例)と未施行群(43例)について,1)CL≦25mmおよびCL≦15mm時の妊娠週数,2)CL≦25mmからCL≦15mmまでの期間,3)妊娠36週未満の早産の有無について後方視的に比較した.さらにtocolysis施行群において,4)開始時の妊娠週数およびCLについて検討した.統計学的解析には,Mann-Whitney U検定を用い,有意水準はp<0.05とした.
【結果】
1)CL≦25mm/≦15mmの妊娠週数は,施行群では25.5±0.62(Mean±SEM)mm/29.1±0.50mm,未施行群では27.0±0.42mm/34.0±0.41 mmと,施行群は未施行群より早かった(P=0.035/P<0.01).2)CL≦25mmから≦15mmの期間は,施行群では3.6±0.8週,未施行群では7.0±0.5週と施行群では未施行群と比べ急速なCLの短縮を認めた(P<0.01).3)妊娠36週未満の早産は,施行群は3例(14.2%:3/21),未施行群は1例(2.3%:1/43)であった.4)施行群におけるtocolysis開始週数は29.4±0.6週,CLは12.5±1.0mmであった.
【考察】
妊娠30週までに頸管長短縮を認め,tocolysisを要する症例においては,子宮収縮の頻発に先行して頸管長短縮開始が早期に認められるand/orそれ以降の短縮が急速に進行することがわかった.これらの症例では「頸管無力症」類似の病態が切迫早産の一因であることが示唆された.