Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
産婦人科:産科

(S424)

胎児の4Dエコー施行における最適な妊娠週数の検討

The best week of gestation during pregnancy for viewing real-time 4-dimensional ultrasonographic imaging of the fetus.

丸茂 元三, 森田 豊, 室本 仁, 間瀬 徳光, 難波 直子, 上田 万莉, 疋田 裕美, 石田 友彦, 山本 幸彦, 大橋 浩文

Genzo MARUMO, Yutaka MORITA, Jin MUROMOTO, Norimitu MASE, Naoko NANBA, Mari UETA, Hiromi HIKIDA, Tomohiko ISIDA, Yukihiko YAMAMOTO, Hirofumi OHASHI

板橋中央総合病院産婦人科

Cheaf of M.D. Dept.of OB/GYN, Itabashi chuo Medical Center

キーワード :

【目的】
当院では胎児に対する4Dエコーを希望した妊婦に対し,インフォームドコンセントを得て,一回あたり約30分間,リアルタイム画像をお見せするとともに,DVDやビデオに録画し自宅へ持参させている.我々は,この試みが妊婦および家族に及ぼす心理的効果を報告してきた1).今回,4Dエコーの施行時期による画像の満足度と心理的効果について分析し,4Dエコーの最適な施行時期があるかどうかを検討した.
【方法】
平成17年1月から平成19年6月までの間に,当院で出産された2853症例中,調査可能であった2057症例(初産968例,経産1089例)を対象にアンケートを実施した.
超音波診断装置はGE社製VOLUSON730EXPERTを使用した.
【結果】
妊娠中に,4Dエコー画像撮影は,2057症例のうち,926症例(初産517例,経産409例),45%(初産53%,経産38%)で施行されていた.画像に「満足」50%(461/926),「ほぼ満足」37%(342/926),「普通」8%(75/926),「やや不満」5%(44/926)で,「不満」と答えた症例は2例のみであった.
4Dエコー画像撮影の妊娠週数別の画像の満足度は,「満足」から「ほぼ満足」が妊娠16〜19週において77%,妊娠20〜23週において74%,妊娠24〜27週において89%,妊娠28〜31週において88%,妊娠32〜35週において84%,妊娠36〜39週において83%であった.妊娠24〜31週において,満足度が高く,逆に「やや不満」から「不満」は3〜4%と低かった.
 「不満」と答えた理由は,妊娠20〜23週では,「小さくて表情がみられなかった」が多かった.妊娠週数に関係なく共通しては,「胎盤や胎児の手で顔がよくみられなかった」,「胎児の向きが良くなかった」,「動きが少なかった」等であった.
4Dエコー画像撮影の妊婦の心理的影響は,胎児の順調な発育に対する安心感が72%(665/926),児への愛着,いとおしさが62%(577/926),児に会えることの期待が62%(575/926),妊娠の自覚が25%(234/926)であった.
4Dエコー画像撮影の妊娠週数別の心理的影響は,妊娠週数が早いほど,妊娠の自覚,胎児の順調な発育に対する安心感,胎児に対する愛着,いとおしさの割合が高くなる傾向があった.逆に妊娠週数が遅いほど,胎児に会えることの期待の割合が高くなる傾向があった.
【総括】
妊娠中から,鮮明で動きのある胎児の画像と視覚的ふれあいを持つことはどの妊娠時期においても,胎児の順調な発育に対する安心感と,児への親しみ愛着を高め,特に妊娠週数が早いほど,その傾向が高いことが示唆された.また妊娠週数が遅いほど,胎児に会えることの楽しみが高まることが示唆された.以上より,4Dエコーの心理的影響は施行時期により異なる面もあるが,全体の満足度からみれば,妊娠24〜31週が最適と考えられた.

【文献】
 1)丸茂元三,森田豊,上田万莉,間瀬徳光,難波直子,岩見菜々子,中村弘治,竹内沢子,疋田裕美,石田友彦,藤孝一郎,山本幸彦,大橋浩文:4次元超音波外来が妊婦および家族に及ぼす心理的影響 日本産科婦人科学会学東京地方部会会誌56 355-360, 2007