Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:膵

(S409)

膵腫瘤性病変に対するSonazoid造影超音波(US)の有用性

The Initial Study of Pancreatic Tumor with Contrast-enhanced Ultrasonography

西田 睦

Mutsumi NISHIDA

北海道大学病院診療支援部超音波室

Support for Clinical Practice, Laboratory of Ultrasound,Hokkaido University Hospital

キーワード :

【目的】
 ソナゾイドを使用した造影超音波(CEUS)による膵腫瘤性病変における診断能をB モードUSと比較し,検証する.
【対象・方法】
2008年8〜12月までに膵腫瘤性病に対しCEUSを施行し臨床的に診断された30例 (男性13,女性17),年齢48〜79歳(平均64.9).膵管癌 23(22), 膵転移性結節1(0), 内分泌性腫瘍 2(2), 自己免疫性膵炎3(1) (( )内は組織診断例).腫瘍サイズ平均35.7mm. 装置は東芝AplioXG,B modeにて観察後,CEUSを行った.造影剤はSonazoid, 造影モードはpulse subtraction法, MI値0.28〜0.3.造影剤静注後約10〜30秒前後をearly vascular phase (v-phase),それ以降の実質が充分に造影された時相をparenchymal phase (p-phase)として80秒前後まで観察.質的診断は,B modeでの腫瘤のecho levelを lowとiso〜high,CEUSでの腫瘤のv-phaseでの造影形態をlinearとspotty〜diffuse,p-phaseでの造影効果をhypo とiso〜hyperに分類し,2名の放射線診断専門医によるblind reading を行った.膵管癌の診断率はconsensus readingにて行った.切除例については組織を抗CD34抗体にて染色し,IMDを算出した.検討項目は1) B modeとCEUSの読影一致率,2) B modeとCEUSにおける膵管癌の診断率,3) CEUSと腫瘍内微小血管密度(IMD)との対比.統計学的検討はKappa coefficient, t-testにて行った(p<0.05).
【結果】
1)blind reading による一致率はB-mode echo level 0.09(p=0.46),CEUS v-phase 0.50 (p=0.002), p-phase 0.40 (p=0.006)であった.2) B mode low echo,p-phase hypoを膵管癌とした場合の診断率はB mode, CEUSそれぞれsensitivity 84.0%, 91.7%, specificity 80.0%, 50.0%, accuracy 83.3%, 83.3%であった.3)p-phaseにおけるhypoとiso〜hyper間にIMDの有意差はなかった(n=8).
【考察】
blind reading による一致率ではB-mode echo level 0.09と不良で,CEUSではv-phase 0.5,p-phase 0.4と有意に中等度の一致を示した.このことはB modeによるecho levelの評価が各個人で異なることが原因と考えられた.CEUSではv-phase linearやp-phase hypoの造影パターンが認識しやすいことが一致率の向上に寄与したと考えられた.膵管癌の診断率はCEUSによるsensitivityはB modeに比し高く,specificityは低値,accuracyは同等であったことからB modeとCEUSによる総合評価が望ましいと考えられた.今回IMDの検討を行い得た症例は全例膵管癌であったため,造影効果とIMDに有意差は得られなかった.
【結語】
Sonazoidを用いた造影USは検者間の読影のばらつきを低減させ,B-mode所見との総合評価により膵腫瘍の質的診断に貢献する可能性が示唆された.