Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:胆嚢

(S405)

壊疽性胆嚢炎における造影超音波検査の有用性

Usefulness of contrast enhanced ultrasonography in gangrenous cholecystitis

蓮尾 英明1, 畠 二郎2, 眞部 紀明2, 山下 都3, 谷口 真由美3, 中武 恵子3, 竹之内 陽子3, 小島 健次3, 今村 祐志4

Hideaki HASUO1, Jiro HATA2, Noriaki MANABE2, Miyako YAMASHITA3, Mayumi TANIGUCHI3, Keiko NAKATAKE3, Yoko TAKENOUCHI3, Kenji KOZIMA3, Hiroshi IMAMURA4

1川崎医科大学付属病院総合診療科, 2川崎医科大学付属病院検査診断学, 3川崎医科大学付属病院中央検査部, 4川崎医科大学付属病院食道・胃腸科

1Department of General Medicine, Kawasaki Medical School Hospital, 2Department of Clinical Pathology and Laboratory Medicine, Kawasaki Medical School Hospital, 3Department of Clinical Laboratory, Kawasaki Medical School Hospital, 4Department of Gastroenterology, Kawasaki Medical School Hospital

キーワード :

【背景および目的】
一般的に壊疽性胆嚢炎の術前診断は必ずしも容易ではないが,経過が急激で重篤化しやすいため,慎重な対応と速やかな治療方針の決定が望まれる.体外式超音波検査(以下超音波)上,Bモードおよびカラードプラのみではその診断が困難なことがあり,胆嚢壁の虚血の評価には造影超音波が有効であると考えられるが,それに関する過去の報告は皆無である.そこで本症の診断における造影超音波の有用性を検討した.
【対象】
対象は2007年5月〜2008年9月に当施設で術前に造影超音波が施行され,切除標本の病理組織学的検索がなされた胆嚢炎12例(男性10例,22〜89歳,68.3±16.8歳)である.診断は,摘出標本の病理組織学的検索により確定した.
【方法】
全例無処置で造影超音波を施行し,胆嚢壁の染影の低下・欠損の有無と病理組織学的な胆嚢炎の重症度との関連を検討した.機種は東芝社製SSA-700A(Aplio)を用いて,造影はLow MI imaging(MI値0.2〜0.4)にてソナゾイド0.015ml/kgを末梢静脈よりボーラス注入し,約60秒間連続観察した.
【結果】
12例中8例に胆嚢壁の染影の低下・欠損を認め,その全例で病理組織学的に壊疽性胆嚢炎と診断された(陽性予測値100%).その内,6例は造影超音波と同日,1例は経皮経肝的胆嚢ドレナージ(以下PTGBD)施行にて6日後,1例はPTGBD未施行にて2日後に手術が施行された.染影の低下・欠損を認めなかった4例のうち,2例が壊疽性胆嚢炎と診断された.壊疽性胆嚢炎における造影超音波の感度は80%であった.染影が良好であったに関わらず病理組織学的に壊疽性胆嚢炎と診断された2例は,造影超音波から手術までの時間を要していた(1例は,PTGBD施行にて造影超音波から19日後,1例はPTGBD未施行にて6日後に手術が施行された.壊疽性胆嚢炎に至っていなかった2例は,PTGBD施行にて3日後に施行された.)
【考察とまとめ】
胆嚢炎において,胆嚢壁の染影の低下・欠損を認めた場合は壊疽性胆嚢炎であると診断できることから,造影超音波は胆嚢壁の虚血の評価に極めて有用であると考えられる.染影が良好であったに関わらず病理組織学的に壊疽性胆嚢炎であった症例に関して,手術までに要した時間やPTGBDの有無を考慮すると,本検討のみで判断することは難しい.