Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:胆嚢

(S405)

胆嚢過形成ポリープの超音波像の特徴

Ultrasonographic feature in hyperplastic polyp of gallbladder

比佐 岳史, 高松 正人

Takeshi HISA, Masato TAKAMATSU

JA長野厚生連佐久総合病院内科

Internal Medicine, Saku Central Hospital

キーワード :

背景:胆嚢の超音波検査において,内部に無エコーを伴わない広基性腫瘤像は,一般に胆嚢癌を示唆する所見である.しかし,術前に胆嚢癌と診断したが,組織学的には過形成ポリープであった症例を経験した.本検討の目的は,過形成性ポリープと胆嚢癌の鑑別に有用な超音波所見を明らかにすることである.
方法:2000年4月から2008年10月の間,当院において経腹的超音波検査(US)あるいは内視鏡的超音波検査(EUS)で内部に無エコーを伴わない広基性腫瘤像を呈し,胆嚢癌の診断にて手術を施行された17例を対象とした.対象の内訳は3例が過形成性ポリープ,14例が胆嚢癌であった.過形成性ポリープは全例,肉眼的に表面平滑な棒状隆起が集簇し,組織学的に棒状隆起は1層の固有上皮および浮腫状間質から成っていた.胆嚢癌は全例,肉眼的に様々な大きさの不整な結節が集簇していた.組織学的深達度は1例がm,11例がss,2例がseであった.そこで,US/EUS画像における棒状隆起の有無,外側高エコー層と腫瘤との関係を検討した.10年以上の超音波検査歴を有する3名の医師および技師が,臨床情報なしにUS/EUSの画像を読影した.
結果:3名の読影者全員が,過形成性ポリープ全例で棒状隆起が描出され,胆嚢癌全例で棒状隆起は描出されていないと判断した.また,過形成性ポリープ全例および胆嚢癌の1例(深達度m)において外側高エコー層の菲薄化はなく,腫瘤との境界は整であり,胆嚢癌の13例(深達度ss以深)において外側高エコー層の菲薄化・断裂,あるいは腫瘤との境界に不整ありと判断した.
結論:US/EUSにて胆嚢の広基性腫瘤が棒状隆起を有し,腫瘤による外側高エコー層への影響がない場合,過形成性ポリープの可能性が高いと考えられる.