吉田 昌弘¹, 山平 正浩¹, 吉本 直喜¹, 東浦 晶子¹, 柴田 陽子¹, 橋本 眞里子¹, 堀 和敏³, 會澤 信弘², 齋藤 正紀², 田中 弘教^{1, 2}, 西口 修平², 飯島 尋子^{1, 2}

Masahiro YOSHIDA¹, Masahiro YAMAHIRA¹, Naoki YOSHIMOTO¹, Akiko HIGASHIURA¹, Yoko SHIBATA¹, Mariko HASHIMOTO¹, Kazutoshi HORI³, Nobuhiro AIZAWA², Masaki SAITO², Hironori TANAKA^{1, 2}, Shuhei NISHIGUCHI², Hiroko IIJIMA^{1, 2}

¹兵庫医科大学超音波センター, ²兵庫医科大学内科・肝胆膵科, ³兵庫医科大学内視鏡センター

¹Depertment of Ultrasound Imaging Center，Hyogo College of Medicine,Hyogo,Japan, ²Depertment of Internal Medicine,Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease，Hyogo College of Medicine,Hyogo,Japan, ³Depertment of Endscopy Center，Hyogo College of Medicine,Hyogo,Japan

キーワード :

【目的】
GISTは内視鏡や消化管造影検査で発見されることが多いが，表面が健常粘膜に覆われており，腫瘍内部の所見が得られる超音波検査は診断や治療方針の決定上重要である．また，診断後も内視鏡検査や超音波内視鏡（EUS）で経過観察されるが，これは侵襲的検査法である．一方，体外式超音波（US）は低侵襲であり，経過観察の一助に成り得る可能性がある．今回我々は組織学的に診断し得たGIST のUSとEUS像を比較し特徴を検討した．
【対象・方法】
2005年6月から2008年11月までUSを施行したGIST5例（男性1例，女性4例　平均年齢66±8歳）を対象とした．USは無処置または飲水下で施行し，存在部位，腫瘤径，形状，内部エコー，血流シグナル等を検討した．機種は東芝Aplio，探触子は中心周波数5〜7MHzを使用した．
【結果】
＜描出能とB-mode所見＞　全例，USで確認できた．存在部位は胃角部2例，胃底部3例であり，胃角部の症例は2例とも約2cmと小さかったが，いずれも飲水下で容易に描出可能であった．胃底部および胃食道接合部に存在した3例は約4cmであったが，胃角部と比較し体位変換等の工夫で全例描出可能であった．体外式USでのBモード所見は全例低エコーを呈していた．内部エコーは均一3例，不均一2例であったが，大きさによる特徴は認めなかった．悪性であった1例は腫瘍径40mm，形状は分葉状で，辺縁不整，内部エコーが極めて不均一であったが，良性の4例は，腫瘍径40mm以下のものが多く，形状は円形状で，内部は均一低エコーが多かった．
＜EUS所見との対比＞EUSの内部エコーは，体外式のものと一致していた．しかし胃底部にみられEUSで分葉状に観察された約4cm大のものは，USは分葉状の形態を指摘できず，USの限界と考えられた．EUSではすべて4層との連続が確認できたが，USで確認できたものは2例のみであった．
＜造影US所見＞造影超音波による腫瘤内の血流評価は，検査施行した4例中全例に腫瘤内の染影を認めた．良性の3例は，辺縁のみ染影されるか腫瘍全体が点状に染影された．悪性の1例は，中心部への穿通血管を認めた．
【考察】
USは，EUSと比較して描出能が劣るものの，胃角部の症例などでは描出が容易であり，存在部位によっては，USによる経過観察が有用と思われた．また，造影US所見より良性例と悪性例を比較すると，悪性例では腫瘍中心部への豊富な新生血管が示唆され，悪性度を評価する上で重要な所見になり得ると考えられた．
【結語】
USはGISTの経過観察に有用なオプションとなり得る．また，造影USによる血流評価はGISTの悪性度を推定する所見となる可能性がある．