Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:肝臓(その他)2

(S393)

新しい他画像参照モード:V-Navの初期使用経験

Primitive experience of Volume Navigation System (V-Nav)

山下 奈美子1, 平井 都始子1, 丸上 永晃1, 吉田 美鈴1, 弓場 文麿1, 森井 多美子1, 佐谷 徹1, 橋本 浩2, 大石 元1

Namiko YAMASHITA1, Toshiko HIRAI1, Nagaaki MARUGAMI1, Misuzu YOSHIDA1, Humimaro YUBA1, Tamiko MORII1, Toru SATANI1, Hiroshi HASHIMOTO2, Hajime OHISHI1

1奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部, 2GE横河メディカルシステム株式会社超音波研究室

1Department of endoscopy and ultrasound,Nara Medcal University, 2UltrasoundLaboratry,Yokogawa Medical Systems

キーワード :

【目的】
あらかじめ取得したCTやMRIのボリュームデータを用い,超音波走査像に同期して同一断面の像を仮想的に並列表示するシステムは肝腫瘍の治療への応用だけでなく,表在臓器など他の領域への応用も進んでいる.今回,GE社製超音波診断装置(LOGIQ E9)に搭載された他画像参照モードVolume Navigation機能(V-Nav)を使用する機会を得ることができ,その初期使用経験について報告する.
【使用装置と機能】
超音波診断装置はGE横河メディカルシステムLOGIQ E9,4Cコンベックス型,9Lリニア型プローブを使用.V-Navは超音波診断装置,プローブ,磁気発生器,プローブ位置検出のための磁器センサーにより構成される.
V-Navは大きくFusionとGPSという2つの機能をもつ.FusionはUS,CT,MRIなどの画像を参照しながらBモード,カラードプラ,造影超音波(造影US)を実施できる機能,GPSは画像の関心部位にマーキングを行い,マーカーからの距離情報を表示することで,関心部位を追跡できるようにする機能である.
【V-Nav使用方法】
磁気発生器を患者の近くに置き,2つの磁気センサーをプローブに装着.磁気センサーが位置を検出し,超音波画像と他画像とを比較してメルクマールとなりうる位置をマーキングする.以上の操作によりリアルタイムのUS画像と参照画像との連動画像を得ることが可能となる.
【結果】
治療前後のHCC2症例についてV-Navを使用した.他画像とUS像は比較的容易にFusion像を得ることができ,GPSも関心部位に良好に一致していることが確認できた.
症例1;70歳代男性,HCC(S1,S8)治療後.造影CTでS1治療部の辺縁再発とS5に新病変を指摘され,USを施行.Bモード上S5の腫瘤は不明瞭でS1辺縁再発部は同定が困難であった.造影CTを参照しながらGPS機能を用いてマーキングを行いGPS機能により,S5病変の部位を同定することはできたがBモードでは不明瞭であった.S1腫瘤は深部に存在し,吸気時に描出できるのみであった.そこで,造影CTを参照画像として造影USを施行し,2病変ともに早期濃染,後期造影欠損が明瞭に観察された.特に深部に位置するS1腫瘤にはGPS機能を用いる事で見失う事なく造影USを施行する事ができた.治療前後でUS/USの観察を行う事ができ,両者は良好な連動性を認めた.
症例2;60歳代男性,HCC(S5/8)治療後.造影CTでS2に腫瘤を指摘されUSを施行.GPS機能によりS2には近接して2個の結節があることが判明した.造影CTでは1結節は早期濃染を認めたが,一方の結節は不明瞭であった.USでは造影CTで不明瞭であった結節は明瞭に観察され,一方の結節はBモード上不明瞭であった.造影USを施行し造影後期相で2カ所の造影欠損を確認した.
【まとめと考察】
GE社製超音波装置に搭載された新しい他画像参照モードVolume Navigation(V-Nav)はUSと他のモダリティーとは比較的容易に,良好な連動性が得られた.V-Navを用いることにより,Bモードで同定困難な病変の同定が可能となり,より確実に腫瘍部,再発部の確認が可能となった.治療前後のUS/USの観察を行うことにより,治療効果判定にも有用であると考えられた.他のモダリティーのデータ取得がより容易となれば,日常検査時にも使用できる可能性が示唆され,各種画像からの情報を組み合わせた詳細な検討や正確な治療効果判定などが可能になると考えられ,今後さらに症例・経験を積み重ねていきたい.