Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:肝臓(その他)1

(S392)

Advanced dynamic flowによる肝表近傍実質内血流の検討

Ultrasonographic analysis of liver disease: Advanced dynamic flow imaging of peripheral liver blood flow

高山 竜司, 住野 泰清, 和久井 紀貴, 塩沢 一恵, 藤田 泰子, 池原 孝, 渡辺 学, 飯田 和成

Ryuji TAKAYAMA, Yasukiyo SUMINO, Noritaka WAKUI, Kazue SHIOZAWA, Yasuko FUJITA, Takashi IKEHARA, Manabu WATANABE, Kazunari IIDA

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine,Toho University Omori Medical Center

キーワード :

【目的】
慢性肝疾患の病変進展に従い,肝実質内の血流動態および血管走行は時々刻々変化する.その所見を捉えるために,流速感度に関する信頼性を造影超音波で担保しつつ,様々な検討を行ってきたが,実際には造影剤を使わなくともADFモードを用いることにより,肝表近傍の微細な血管血流まで描出できる場合が多い.そこで今回我々は,様々な肝疾患の肝表近傍実質内血流をADFモードで描出し,その有用性について検討したので報告する.
【対象と方法】
急性肝炎27例,慢性肝炎49例,肝硬変28例,健常対照20例である.装置は東芝AplioXG,探触子は6MHzのリニア型を用いた.Depthは4cm,focusは2〜3cmとしADFで肝表面近傍実質内血管を観察した.
【成績】
(1)脂肪肝では正常肝と比べ肝表面近傍の血管描出は乏しい傾向であった.(2)正常肝と慢性肝炎では血管の描出に明らかな差を認められなかったが,慢性肝炎のなかでALT200以上の症例は肝表面近傍の細い血管の描出が目立ち,その数も増加する傾向であった.(3)肝硬変では健常者,および慢性肝炎に比べ描出された血管が細く,また不整であった.PT70%以下の症例ではさらにシャント様血管も描出され,特にSI(spleen index)=30以上の症例ではそれが顕著であった.(4)急性肝炎では急性期には肝表面直下まで微細かつ密な血管を描出でき,かつ末梢におけるシャント様の不整血管も観察された.一方,回復期ではこれらの所見は見られなくなり,観察可能な血管も減少した.
【結論】
ADFにより肝表面近傍血管を検討することで様々な慢性肝疾患の病態を理解できる可能性が示唆された.