Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:胆嚢 胆管

(S390)

腹腔鏡下超音波検査による総胆管結石診断能再考

Detectability of Common bile duct stones during Laparoscopic cholecystectomy using Laparoscopic Ultrasonographyy

松田 正道, 渡邊 五朗, 橋本 雅司, 宇田川 晴司

Masamichi MATSUDA, Gorou WATANABE, Masaji HASHIMOTO, Harushi UDAGAWA

虎の門病院消化器外科

Surgery,Toranomon Hospital

キーワード :

【目的】
当科では1990年の腹腔鏡下胆嚢摘出術(ラパ胆)開始当初から術中胆道造影を,1999年3月からは術中超音波検査(Lap-US)もルーチン化し胆道精査に努めてきた.今回の検討は,Lap-USによる総胆管結石(CBDS)描出能を再評価し,その問題点を明らかにすることを目的とした.
【対象・機器】
2001年から2006年までのラパ胆1273例中,Lap-USを施行した1215例(95.4%)を対象とした.使用機器は主としてアロカ社製ProSoundα5と腹腔鏡専用超音波探触子(rigid type: 7.5MHz)である.
【成績】
Lap-USが捉えたCBDSは56例で,うち39例(3.2%)において術後ERCPで排石を確認した.39例中7例は術中造影で描出されずに,Lap-US のみが捉えた小結石であった.また術前内視鏡下にCBDSを除去(EST/EPBD)した症例が12例含まれたが,これは同期間におけるEST/EPBD施行157例の7.6%に相当した.
【結論】
今回の検討から,ラパ胆施行例の少なくとも3.2%にCBDSが潜在することが判明した.また術前CBDSに対するEST/EPBD施行例の7.6%にCBDSが証明された.この事実は,術中操作により胆嚢から胆管へと落下する結石が存在すると同時に,造影検査であるERCPでは描出できない小結石が遺残している可能性も示唆するものと考えられる.同様に術中造影では描出できないCBDSもわずかながら(7例,0.6%)存在することから,術中胆道精査としてのLap-USの重要性が再認識される結果となった.一方術後のERCPで排石が確認できなかった症例が17例存在したが,これは術中胆道精査がfalse positiveであった可能性,術後早期に結石が十二指腸へpassing した可能性とともに,術後のERCPで描出できない小結石の潜在も示唆するものであり,要経過観察例として位置づける必要があると考えている.