Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:胆嚢 胆管

(S390)

下部胆管狭窄を合併した自己免疫性膵炎における胆管腔内超音波像の検討

Intraductal ultrasound findings of the bile duct in patients with autoimmune pancreatitis.

高岡 亮, 島谷 昌明, 池浦 司, 楠田 武生, 小薮 雅紀, 内田 一茂, 関 寿人, 岡崎 和一

Makoto TAKAOKA, Masaaki SHIMATANI, Tsukasa IKEURA, Takeo KUSUDA, Masaki KOYABU, Kazushige UCHIDA, Toshihito SEKI, Kazuichi OKAZAKI

関西医科大学消化器肝臓内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Internal Medicine,Kansai Medical University

キーワード :

【目的】
自己免疫性膵炎は胆管狭窄による閉塞性黄疸をきっかけに診断される場合も多い.自己免疫性膵炎では種々の程度の胆管病変が報告されている.診断基準では胆管癌,膵癌の除外診断が必要とされている.今回下部胆管狭窄を合併した自己免疫性膵炎症例における胆管腔内超音波像について検討した.
【対象・方法】
対象は2006年5月〜2008年12月までに当科で経験した自己免疫性膵炎(AIP)のうち当科でERCPを施行した15例のうち,下部胆管狭窄を呈し,狭窄部胆管を含めた胆管の精査目的で初回ERCP時に胆管腔内超音波(IDUS)を施行した9例である.
方法は,ERCPにて胆管狭窄を確認し引き続いてIDUSで肝門部胆管から下部胆管まで胆管壁をスキャンし,胆管壁肥厚の有無,程度について,狭窄部胆管の状態について観察した.IDUSはオリンパス社製超音波プローブ(20MHz)を使用した.胆管壁肥厚は,内層が1mmを超えたものを肥厚とし,1.1—1.3mmを軽度肥厚,1.4mm以上を高度肥厚とした.
【結果】
ERCで下部胆管狭窄がみられた9例のうち,何らかの程度での肝門部から上部中部胆管壁肥厚は8例でみられ,いずれも全周性の肥厚であった.1例は肝門部上部中部胆管のいずれも壁肥厚がみられなかった.肝門部から上部中部胆管まで連続して壁肥厚がみられたのは5例,非連続が3例であった.壁肥厚の程度は軽度肥厚が7例,高度肥厚が1例であった.狭窄部胆管壁肥厚については,全周性で均一な肥厚が5例でみられたが,3例では胆管癌あるいは膵癌胆管浸潤様に描出された.胆管狭窄部の生検を9例全例で施行したがいずれも悪性所見は認められなかった.
【考察・結論】
下部胆管狭窄を合併したAIP症例では,種々の程度で胆管壁肥厚がみられたが,肝門部から上部中部胆管まで連続した壁肥厚で,全周性の軽度壁肥厚を呈する症例が多かった.症例の蓄積による検討が必要と考えられた.IDUSは胆管壁の詳細な観察が可能であるが,狭窄部胆管のIDUS像のみからは,胆管癌・膵癌の鑑別は困難な症例もあり,生検,細胞診,他画像との組み合わせ診断が必要と考えられる.
IDUSはAIPに合併した胆管病変の精査に有用な手段のひとつである.