Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:消化器(その他)

(S380)

内臓脂肪測定に関する検討

The analysis of visceral fat measurement

新江 明子1, 高橋 久美子1, 西塚 望美1, 中鉢 由香1, 永井 俊一2

Akiko ARAE1, Kumiko TAKAHASHI1, Nozomi NISHIZUKA1, Yuka CHUBACHI1, Shunichi NAGAI2

1医療法人永井医院検査, 2医療法人永井医院循環器内科

1Yamagata Japan, Nagai Clinic, 2Yamagata Japan, Nagai Clinic

キーワード :

【はじめに】
特定検診で用いられている腹囲は各国で異なる診断基準が設定されており,特に女性の基準値が男性より高いという点が我が国の特徴であり,議論となっているところである.女性の腹囲カットオフ値は90cmとされているが,この場合内臓肥満の半数を見逃すともいわれている.
【目的】
腹囲と内臓脂肪型肥満を測る指標との関連を調べる.また,脂肪肝と内臓脂肪の関連を調べる.
【対象】
平成20年6月から12月までに,検診または何らかの検査目的で検査を受けた122名(男性51名,女性71名,平均年齢45.1±11.5歳)
【方法】
腹囲と各指標(BMI,AFI,腹膜前脂肪厚,皮下脂肪厚)の関連を検討する.また,腹囲の診断基準を,日本で使用している男性85cm,女性90cmの場合と,アジアで使用されている男性90cm,女性80cmの場合の各指標との関連を検討する.脂肪肝の有無と腹囲,各指標との関連を検討 ※AFIは〔腹膜前脂肪の最大値P〕/〔皮下脂肪の最小値S〕で表し,男性1.0以上,女性0.7以上で内臓脂肪型肥満に対応し,Pは腸間膜厚との相関があるともいわれている.
【結果】
腹囲(83.0±10.7cm)と各指標との関連では,BMI(23.7±4.0, r=0.87),腹膜前脂肪厚(7.3±3.4mm, r=0.55),皮下脂肪厚(9.2±4.2mm, r=0.47)で正の相関を認めた.次に,日本とアジアの腹囲基準値をカットオフ値未満と以上に分けて各指標との関連を調べてみると,男性の腹囲85cm未満(n=19)と85cm以上(n=32)の比較では,BMI(21.3±1.9 vs 27.0±3.3, p<0.001),腹膜前脂肪厚(6.1±2.9mm vs 9.1±3.2mm, p<0.05),皮下脂肪厚(5.3±2.4mm vs 8.9±3.4mm, p<0.001)で有意差を認めた.男性の腹囲90cm未満(n=32)と90cm以上(n=19)では,BMI(22.8±2.6 vs 28.5±3.4, p<0.001),腹膜前脂肪厚(6.7±2.7mm vs 10.2±3.4mm, p<0.001),皮下脂肪厚(6.0±2.6mm vs 10.1±3.4mm, p<0.001)で有意差を認めた.女性の腹囲90cm未満(n=58)と90cm以上(n=13)では,BMI(21.6±2.7 vs 28.4±2.8, p<0.001),腹膜前脂肪厚(6.3±3.1mm vs 9.1±3.0mm, p<0.05),皮下脂肪厚(9.4±3.8mm vs 14.8±4.0mm, p<0.001)で有意差を認めた.また,女性の腹囲80cm未満(n=38)と80cm以上(n=33)では,BMI(20.7±2.6 vs 25.2±3.5, p<0.001),腹膜前脂肪厚(5.4±2.3mm vs 8.4±3.5mm, p<0.001)で有意差を認めた.脂肪肝の有無で各指標を調べてみると,脂肪肝あり(n=46)と脂肪肝なし(n=76)では,腹囲(90.7±8.9cm vs 78.3±8.9cm, p<0.001),BMI(26.5±3.7 vs 22.0±3.1, p<0.001),AFI (1.02±0.42 vs 0.80±0.43, p<0.05),腹膜前脂肪厚(9.3±3.3mm vs 2.8mm, p<0.001)で有意差を認めた.
【結語】
腹囲が増えるほど腹膜前脂肪厚,皮下脂肪厚は厚くなり,腹囲カットオフ値が女性の80cmの場合のみ内臓脂肪型肥満を検出できた.脂肪肝群は有意に腹膜前脂肪厚が厚かった.