Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:消化器(その他)

(S378)

超音波検査の教育の実情と問題点

The problem of the education of an ultrasonography

小川 眞広, 阿部 真久, 松本 直樹, 廣井 喜一, 山本 敏樹, 森山 光彦

Masahiro OGAWA, Masahisa ABE, Naoki MATUMOTO, Yoshikazu HIROI, Toshiki YAMAMOTO, Mituhiko MORIYAMA

駿河台日本大学病院内科

Internal medicine,Surugadai NihonUniversity hospital

キーワード :

【はじめに】
超音波検査は,非侵襲性の検査法で緊急疾患にも対応可能でなおかつ空間分解能も高く有益な情報が得られるため現在研修医の必修項目にもなっている.しかしながら本来最も簡便であるべき検査法が,装置を搬入して自分で施行し自分で判断を下さなければいけない状況を考えると,依頼状の1枚で読影レポート付きで結果が得られるCT,MRI検査と比較し,時間的・精神的な問題から,また超音波検査を依頼した場合には得られる画像の客観性の低さより超音波検査が割愛されるケースも多くなっている.若い医師の中でも超音波離れはあり,これでは本来の超音波検査の長所も活かされないことになる.そこで今回我々の施設での経験を活かし(2名の指導医,常勤専門医2名,非常勤専門医3名,認定超音波検査士は5名でローテーションを組んで検査を施行しており現在まで15名の超音波学会専門医を輩出している.)以下の3項目についての現状の育成法と問題点について考える.
【教育について】
知識と技術の両方の教育が必須となる.知識については1回/週の朝の勉強会を施行している.超音波画像の読影および代表的な疾患の超音波画像と他の画像診断との比較検討を中心に施行している.技術指導は,客観性の不足を補う目的でスクリーニング検査の撮影手順の徹底,超音波専門医以外はダブルスクリーナー法によりダブチェックを行い1症例ごとに必ず上級医師が直接プローブを握り検査を施行し診断を下している.検査終了にすぐに技術・知識の指導を行なうことで細かな指導が可能となると考えている.問題点としては,マンパワーの不足と1症例あたりの検査時間の延長が挙げられる.
【装置について】
超音波診断装置の改良によりいまやスクリーニングのみではなく,精密検査用にも匹敵した検査法となっている.したがって超音波を最終診断とするべく有効に使用している医師もいるが多くは無いのが現状である.問題点として最近のソフト・ハードの両面での進歩が早く装置による差が認識されていない,各社メーカーで統一した名称が使用されていないため機能が浸透せず使用されない,周辺機器の整備されない施設も多く画像再評価も含めて動画で検査結果を閲覧できる環境がほとんど無いなどが挙げられる.
【超音波検査の目標について】
超音波検査を施行し,疾患の重症度診断,存在診断・質的診断ができることはもちろん,その結果により次の検査計画の優先順位の決定できることを目標としている.他の検査と異なり他人任せにするのでは無く,担当医が触診をする代わりにプローブを当てる心構えが必要でマニュアル以外にも主訴に応じて臨機応変にscanをすることが大切であると考えている.
【まとめ】
超音波診断装置の小型化や客観性の向上は進歩し続けることが予想されるが,同時期に入れ替わることは不可能である.超音波技師・医師の育成に最も重要なことは本人意思がもっとも重要であるが,超音波検査の有用性を正当に認識してもらえば自ずと有効利用されると考えられる.したがって報告書を見るだけではなく少しでも自分で超音波診断装置に触れることが最も重要であると思われる.