Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:肝・治療2

(S376)

ラジオ波焼灼療法およびエタノール注入療法施行中のバブルの観察

Observation of microbubbles in radiofrequency ablation and percutaneous ethanol injection

川本 智章, 山内 篤, 宮城 直也, 金子 恵子, 可児 和仁, 知念 克哉, 林 健次郎, 天野 芙美, 屋嘉比 康治

Chiaki KAWAMOTO, Atsushi YAMAUCHI, Naoya MIYAGI, Keiko KANEKO, Kazuhito KANI, Katsuya CHINENN, Kenjiro HAYASHI, Fumi AMANO, Koji YAKABI

埼玉医科大学総合医療センター消化器肝臓内科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University

キーワード :

【目的】
肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)およびエタノール注入療法(PEI)施行中にはしばしばエコーでバブルが流出するのが観察される.しかし,同じように観察されるバブルでも両者は異なる機序によって発生していると推定される.そこで,RFAおよびPEI施行中に血管内視鏡を用いてバブルの観察を行った.
【対象および方法】
A. RFA: 平均体重68 kgの豚5頭を用い,全身麻酔管理のもとに内頚静脈に16Frのシースを挿入した.次いでシース内に径が3.8mmのFUJINON VIDEO SCOPE EB-470 Pを挿入後,ガイドワイヤーを用いて肝静脈へ誘導し,肝静脈側からバブルを観察した.RFAはLeVeen needleもしくはcool-tipを用い,エコーガイド下に内視鏡の近傍に電極を挿入して行った.さらに,門脈内に16Frのシースと内視鏡を挿入して門脈におけるバブルの観察も行った.B. PEI: 平均体重62 kgの豚2頭を用い,4mlのエタノールを注入し肝静脈にて観察を行った.なお,RFAおよびPEI施行中に観血血圧モニターと圧トランスデューサーを用いて肝内圧をモニターした.
C. 水槽実験:生理的食塩水(生食)で満たした水槽内に無水エタノール,生食,50%グルコースをそれぞれ10mlのシリンジを用いて注入し,バブルが観察されるか否かをエコーで観察した.
【結果】
A. RFA: RFAの焼灼によってエコーでバブルが観察されるとほぼ同時に,肝静脈および門脈にバブルが流出してくるのが内視鏡で観察された.特にpoppingが見られる場合にその流出量は多かった.肝内圧はLeVeen needleで154.5±30.9mmHg,cool-tipで114.5 ±16.6mmHgであった. B. PEI: エタノールを注入すると流出してくるエタノールが内視鏡的に観察されたが,バブルは認められなかった.肝内圧は12.0±8.5mmHgであった.C. 水槽実験:無水エタノール,50%グルコースを注入すると,あたかもバブルが発生しているように高エコーに変化したが,生食では全く変化がみられなかった.
【考察および結論】
RFA施行中のバブルは肝内圧の上昇に伴って発生するものと考えられた.一方,PEIに伴うものはエタノールと血液のエコーコントラストの違いによって発生しているものであると推定され,いわゆるバブルではないと考えられ,肝内圧の上昇も軽度であった.