Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:肝・治療2

(S374)

ソナゾイド造影超音波検査によるIVR後肝癌の壊死効果判定に関する検討

Assessment of therapeutic effects of interventional radiology on hepatocellular carcinoma by Sonazoid -enhanced ultrasound

坂本 梓, 池田 敦之, 谷口 敏勝, 恵荘 裕嗣, 松尾 裕央, 齋藤 澄夫, 西川 浩樹, 喜多 竜一, 岡部 純弘, 木村 達, 大崎 往夫

Azusa SAKAMOTO, Atsuyuki IKEDA, Toshikatsu TANIGUCHI, Yuji ESO, Hiroo MATSUO, Sumio SAITO, Hiroki NISHIKAWA, Ryuichi KITA, Yoshihiro OKABE, Toru KIMURA, Yukio OSAKI

大阪赤十字病院消化器科

Gastroenterology and Hepatology,Osaka Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
肝癌の治療効果判定は現在のところCTを中心に行われている.今回我々はソナゾイドを用いた造影超音波が,経カテーテル治療(IVR)後肝癌の壊死効果判定に有用であるか検討した.
【方法】
当院で2008年1月から3月にIVRを行った肝細胞癌のうち,USでの観察が容易であり,IVR後1週間以内のCTで十分なリピオドール集積を認めた45結節を対象とした.全例にIVR前,およびIVR後3日以内に造影超音波を行い,腫瘍血流を評価した.また,局所治療を追加しなかった結節には,IVR1週間後に造影超音波を,1ヵ月後に造影超音波とDynamic CTを行い結果の比較をした.手術を行った結節は造影超音波とCT,病理所見でIVRによる壊死率を比較し検討した.可能な症例では経過を追い,IVR後結節の局所再発の有無を検討した.
【成績】
IVRの内訳は肝動脈塞栓療法(TACE)16結節,肝動注(TAI)29結節であり,21結節にはIVR後に局所療法を,6結節には手術切除を追加した.
まず,TAI直後の造影超音波では86.2%(25/29)で腫瘍内部に血流の遺残を認めた.造影超音波でTAI直後,1週間後,1ヶ月後経過を追ったところ,腫瘍内部への染影範囲は大きく変化しなかった.すなわち,TAI後HCCの治療効果判定は,造影超音波ではTAI直後において行える可能性が示唆された.
次にTACE直後の造影超音波では43.8%(7/16)で腫瘍内部に血流の遺残を認めた.1週間後の造影超音波を評価できた10結節のうち6結節(60%)では,直後に比べ腫瘍内部への染影範囲の増加を認めた.TACE1週間後と1ヶ月後の造影超音波では染影範囲に大きな変化は見られなかった.すなわち,TACE後HCCの治療効果判定は,造影超音波では1週間後に行える可能性が示唆された.
IVR後に手術を行った6結節の,造影超音波,CTでの壊死効果判定と,手術標本の病理組織による壊死範囲を比較検討した.造影超音波の効果判定と病理結果の一致率は66.7%(4/6結節),CTでの一致率は66.7%(4/6結節)で,造影超音波とCTに差は認めなかった.
局所療法,手術加療を行わなかった18結節は経過観察を行い,局所再発の有無を検討した(平均観察期間8.5ヶ月).IVR1ヶ月後のDynamic CTで遺残なしと判定した結節は5結節で,造影超音波では3結節だった.後者の3結節は以後再発を認めなかった.造影超音波で遺残ありと判定した15結節(IVR1ヶ月後のdynamic CTで遺残なしと判定した2結節を含む)は,1年以内にCTで遺残再発が確認された.
【結論】
ソナゾイド造影超音波では,IVR後の腫瘍血流の詳細な観察が可能であり,簡便に経時的な変化を捉えることができた.IVR後1週以内のCTで十分なリピオドール集積を認めていたにも関わらず,造影超音波でIVR直後より血流を認めた結節は,経過中全例CTで再発が確認された.造影超音波では,リピオドール集積の有無に関わらず血流の評価が可能であり,IVR後の効果判定に有用と考えられた.