Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:肝・治療1

(S372)

仮想穿刺ルートを参照した尾状葉肝癌に対する経皮的RFA

The efficacy of virtual puncture line of radiofrequency ablation for hepatocellular carcinoma in caudate lobe

小泉 洋平, 広岡 昌史, 木阪 吉保, 阿部 雅則, 日浅 陽一, 松浦 文三, 恩地 森一

Yohei KOIZUMI, Masashi HIROOKA, Yoshiyasu KISAKA, Masanori ABE, Yoichi HIASA, Bunzo MATSUURA, Morikazu ONJI

愛媛大学大学院先端病態制御内科学

Department of Gastroenterology and Metabology, Ehime University

キーワード :

尾状葉は解剖学的に肝の深部に位置し,大きな肝外血管にしばしば隣接する.このため尾状葉に発生した肝癌に対する肝切除は容易ではない.さらに犠牲的片葉合併切除を行う場合もあり,肝予備能不良例には適応にならない.肝動脈塞栓術は栄養血管の選択が困難な症例がしばしば存在し治療効果が不充分となりやすい.経皮的局所療法は肝予備能が良好でない症例にも高い局所制御能をもって治療可能であるが,尾状葉に対する穿刺は穿刺ルート上に大血管が存在することも多く極めて困難である.我々は穿刺断面と同一断面の仮想超音波像上に仮想穿刺ルートを描くことにより,同時にワークステーション上の3DCT像上で穿刺ルートを描く試みを行った(Virtual puncture line).
【目的】
仮想穿刺ルートを参照し尾状葉肝癌に対してRFAを行うことで,その安全性と有用性を評価することを目的とした.
【方法】
対象は2006年4月から2008年6月までに当科に入院しRFAを行った尾状葉肝癌21症例21結節.男性17例,女性4例.平均年齢は67.7±9.5歳(55-82).Child-Pugh分類においてAが14例,Bが7例であった.局在はSpiegel葉が11結節,paracaval portionが7結節,Caudate processが3結節であった.平均腫瘍径は21.3 ± 7.4 mm (12 40 mm).穿刺断面と同一断面上で仮想穿刺ライン(Virtual puncture line)を描いた.このVirtual puncture lineをCTワークステーションにおける3D像にも反映させることとした.3D像において穿刺ルート上に大血管がないことを確認し穿刺した.経胸腔的に穿刺が必要な場合は人工胸水を注入し穿刺を行った.
【結果】
12結節は心窩部より穿刺し,9結節は右肋間より穿刺した.右肋間より穿刺した症例は7結節が人工胸水を注入し穿刺した.1例はChilaiditi症候群のため腸管が頭側に挙上していたが人工腹水の注入により穿刺ルートが確保できた.2結節は門脈本幹に接していたためエタノール注入を併用した.局所再発は現在まで1例もない.心窩部より穿刺した8結節において穿刺ルート上に右胃動脈を確認し,Bモード上でも確認しえた.出血など重篤な合併症も1例もみられていない.
【まとめ】
Virtual puncture lineを3DCT上で描くことにより尾状葉への穿刺ルートと血管などの位置関係が客観的に理解しえた.Virtual puncture lineを用いて治療することにより尾状葉肝癌に対するRFAを施行することが可能である.