英文誌(2004-)
一般口演
消化器:肝腫瘍造影2
(S370)
大腸癌肝転移の術中造影超音波検査の問題点
The problem of contrast-enhanced intraoperative ultrasonography in patients with colorectal liver metastases
畑山 年之, 佐藤 純人, 大賀 純一, 長山 裕之, 石田 康男, 幡谷 潔
Toshiyuki HATAKEYAMA, Sumito SATO, Junichi OGA, Hiroyuki NAGAYAMA, Yasuo ISHIDA, Kiyoshi HATAYA
横浜旭中央総合病院外科
Surgery, Yokohama Asahi Chuo General Hospital
キーワード :
目的
大腸・直腸癌の肝転移手術における術中造影超音波検査の問題点の提示
対象と方法
対象は,2007年12月から2008年12月にSonazoidを用いた術中造影超音波検査を施行した大腸・直腸癌の肝転移手術の15例.方法は,術前各種画像検査と術中造影超音波検査の検査結果の比較.
結果と考察
結果:術中超音波検査で新たに指摘した病変は無かった.術中造影超音波検査でのみ描出された転移病変は2個で,2症例で術式を変更した.病理学検索により転移を認めなかった病変は1個で,ラジオ波焼灼後の病変であった.
考察:第2世代の超音波造影剤の出現により,肝臓腫瘍の診断と治療は一段と進歩した.肝切除手術で一般に行われている術中超音波検査の検出率は約80%とするものが多い.我々は検出率の向上を目的に,大腸・直腸癌の肝転移手術に術中造影超音波検査を導入している.術中造影超音波検査では,存在診断やマージンの確保は容易であり,微小病変を含め検出率は改善されている.術中造影超音波検査では約20%に新たな病変検出されるという報告がある.しかし,大腸・直腸癌の肝転移病変に関しては,造影超音波検査の典型的な造影像が無いため,その質的診断は難しい.また,術前に化学療法やラジオ波焼灼術を施行した手術症例の増加により,質的診断に苦慮する場合がある.
結論
各種画像検査の中で術中造影超音波検査の検出率は高い.しかし,高輝度の病変や術前化学療法施行例の病変,また,ラジオ波施行後の病変では,腫瘍の質的診断が難しい.また数mm以下の微小病変の検出には限界があると思われる.今回自験例のいくつかを提示し,大腸・直腸癌の肝転移手術での術中造影超音波検査の問題点のいくつかを提示した.