Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:肝腫瘍造影1

(S366)

肝血管腫の(High-flow hemangioma)の造影超音波所見

The image of Contrast-enhanced Ultrasonography in hepatic High-flow hemangioma.

小泉 優子, 田村 哲男, 小山 里香子, 今村 綱男, 奥田 近夫, 竹内 和男

Yuko KOIZUMI, Tetsuo TAMURA, Rikako KOYAMA, Tsunao IMAMURA, Chikao OKUDA, Kazuo TAKEUCHI

虎の門病院消化器内科

Gastrology, Toranomon hospital

キーワード :

肝血管腫は,肝臓の腫瘍のなかで日常臨床において遭遇することの多い良性腫瘍である.典型的な超音波所見は,B-modeでは,高エコー低エコー混在エコーの3型を呈する.カラードプラでは,通常内部に血流シグナルを認めず,その理由として腫瘍内に血液がpoolingされ,その血流は多方向性で非常に低速であり感知できないためと考えられている.しかし,内部に豊富な血流シグナルを有する場合には,肝細胞癌や転移性肝腫瘍など悪性腫瘍との鑑別が必要となる.我々は,このような症例においてsonazoidを用いた造影超音波を行うことにより,肝血管腫(high flow hemangioma)と診断し得た症例を経験したので,報告する.
症例1:41歳男性.左葉の30×21mm大の高エコーを呈する腫瘤で,ADF(advanced dynamic flow)では腫瘍内部に比較的豊富な血流シグナルを認め,また腫瘍を取り巻くような強い血流シグナルもみられた.パルスドップラでは動脈性拍動波が証明された.Sonazoid(0.01mg/Kg;以下同量)を用いた造影USでは,比較的早期にfill- in patternを呈した.さらに,Kupffer phaseでは腫瘍から肝表面方向への染まりが周囲に比べ薄く,動脈−門脈短絡を伴っていると考えられた.
症例2:37歳男性で背景肝に脂肪沈着あり.右葉表面の44mm大低エコーSOLで,周囲に地図状の低エコー域(fat sparing area)を認め,動脈−門脈短絡の存在が窺われた.カラードプラおよびADFでは豊富な血流シグナルを有し,腫瘤辺縁から内部に向かい流入する血管シグナルを認めた.Sonazoid造影では,動脈相早期に前述の流入血管が先ず染影され,次いで辺縁より染み入るように内部まで造影され,肝血管腫と診断した.
症例3:55歳女性.肝左葉の長径47mmの紡錘形 混在エコーを呈するSOLで,カラードプラでは心臓の拍動によるmotion artifactが腫瘍に一致してみられ,軟らかい腫瘍であることが窺われた.Sonazoid造影では比較的早期からfill in patternを呈し,肝血管腫と確定した.
以上より,我々の経験したhigh-flow hemangiomaは,いずれも比較的大型の腫瘤であり,カラードプラやADFで内部に血流シグナルを有していた.また,3例中2例に明らかな動脈−門脈短絡を有し,動脈−門脈短絡とhigh-flow hemangiomaとの高い関連性が示唆された.