英文誌(2004-)
一般口演
消化器:肝造影2
(S364)
肝疾患を対象とした造影超音波とクッパー細胞について
Relation of CEUS findings and kupffer cells
堀 史子1, 山下 信行2, 上平 幸史3, 中野 龍治4, 野間 充5
Fumiko HORI1, Nobuyuki YAMASHITA2, Takashi KAMIHIRA3, Ryuji NAKANO4, Mitsuru NOMA5
1九州厚生年金病院中央検査室, 2九州厚生年金病院内科, 3九州厚生年金病院内科, 4九州厚生年金病院病理, 5九州厚生年金病院医療情報部
1Central Clinical Laboratory, Kyushu Kosei-Nenkin Hospital, 2Department of Internal Medicine, Kyushu Kosei-Nenkin Hospital, 3Department of Internal Medicine, Kyushu Kosei-Nenkin Hospital, 4Department of Pathology, Kyushu Kosei-Nenkin Hospital, 5Director of Medical Informatics, Kyushu Kosei-Nenkin Hospital
キーワード :
【はじめに】
ソナゾイドはクッパー細胞に取り込まれる事から,肝細胞癌などの悪性腫瘍の後期相では欠損像を呈する.今回,肝細胞癌症例も含めた肝疾患において造影超音波の後期相での染影像とクッパー細胞数を比較した.
【対象・方法】
対象とした肝疾患は,肝硬変,慢性C型肝炎,急性肝炎,高度肝障害,放射性肝炎の5例,肝細胞癌は,中分化型3例,高分化型2例の5例の計10例である.造影超音波の使用機器は,持田シーメンスSequoia 512(Ver.7)を使用した.MI値0.28前後,フレームレート10前後とし,ソナゾイド投与量は0.0075mg/dl/Kgで,2点のフォーカスポイントを肝または腫瘍中心に設定し,15分以降を後期相として観察を行った.クッパー細胞の病理組織学的評価として,生検標本にCD68特殊染色を施行した.鏡検は光学顕微鏡対物レンズ10倍で全視野確認後,標本に歪みがなくクッパー細胞が均一に検出される領域を選び,対物レンズ20倍で観察した.鏡検画像を撮影し,14.52μ内のクッパー細胞数を数えた.操作は視野を変え3回行い,その3回の平均値をクッパー細胞数とした.クッパー細胞数の対照として,剖検で正常肝であった3症例を調べた.
【結果】
クッパー細胞数は,肝硬変41,慢性肝炎47,放射性肝炎では51で,正常肝組織の46と差がなかったが,造影所見では肝硬変・放射性肝炎で染影の低下または欠損を認めた.急性肝炎では102,高度肝障害148とクッパー細胞数の増加が見られたが,急性肝炎では輝度の高い染影が観察されたのに対し,高度肝障害では欠損が見られた.肝細胞癌では,後期欠損像を認めた症例のクッパー細胞数は2症例で24,25と減少が見られ,69の1症例は周囲と同等の染影であったが,残りの2症例では42,81と増加にも関わらず後期欠損像を認めた.
【考察と結語】
今回の検討では,造影超音波後期相の染影像はクッパー細胞数と関連は見られなかった.症例数を増やし更に検討を重ねる予定である.