小川 眞広¹, 阿部 真久¹, 松本 直樹¹, 廣井 喜一¹, 山本 敏樹¹, 塩田 淳朗¹, 森山 光彦¹, 石田 秀明², 小笠原 正文³

Masahiro OGAWA¹, Masahisa ABE¹, Naoki MATSUMOTO¹, Yoshikazu HIROI¹, Toshiki YAMAMOTO¹, Atsuo SHIOTA¹, Mitsuhiko MORIYAMA¹, Hideaki Ishida², Masahumi Ogasawara³

¹駿河台日本大学病院内科, ²秋田日本赤十字病院消化器科, ³GE横河メディカルシステム超音波事業部臨牀新技術開発グループ

¹Surugadai Nihon University, Internal medecine, ²Gastroenterology, Akita Red Cross Hospital, ³Advanced Technology Research ＆ Application Group, GE Yokogawa Medical Systems

キーワード :

【はじめに】
第2世代の経静脈性超音波造影剤Sonazoidが認可され約2年が経過している．造影剤を非破壊で観察できるため詳細な血流変化が観察できる反面，弱いMI値で観察をする必要があるためにいくつかの弱点も出現している．造影超音波検査の効果を挙げるためにはこれらの欠点を克服することが望まれ現状でもいくつかの工夫をすることで臨床的に応用している．もちろん装置より差はあると考えられるが，今回我々がこれまで自分たちの使用装置における造影超音波検査の経験からこれらの欠点と対処法につき検討をおこなったので報告する．
【方法】
2007年1月〜2008年12月の間に駿河台日本大学病院においてSonazoidを用いた造影超音波検査が施行され，造影効果が上手くいかなかった症例を抽出し対処法を検討した．使用装置：GE横河メディカルシステムLOGIQ7，LOGIQ E9，使用探触子4C，9L，造影方法sonazoid0.015ml/kgまたは0.5ml/bodyの急速静注で行った．造影modeはCPI （Coded phase inversion mode），phase inversionのTissue harmonic B-modeである．造影剤注入後約1分までをearly arterial phaseとし，以後late vascular phase，10分以降をpost vascular phaseとし，肝実質と造影剤の残存を比較し欠損像が得られない症例では随時観察時間を延長した．
【結果および考察】
大きく造影が上手くいかない症例を解析すると①浅部病変，②深部病変，③高エコー病変，④治療効果判定，⑤B-modeの描出が適切におこなえない位置であった．①に関しては画面の最下端にFocus位置を設定している場合が多く，体表より3cm以下の浅い部分の評価をおこなう場合ではFocusの位置を浅く変更し，MI値を0.2前後に再設定することで改善が見られた．②に関してはMIを0.3前後に上げて撮影を施行し改善した．特に目的とする領域の浅部に多く造影剤が残存している場合には深部への音が通りにくく造影効果が判定できない傾向が顕著に現れた．③B-mode中心で観察を行なう場合には，背景のB-modeが残存してしまうために評価が困難な場合があり同様のことが④でも認められた．この場合はCPI modeの造影剤と背景のB-modeが分離しやすい血流情報ならAngio（Coded Angio）mode，それ以外はCoded contrast modeなどの利用をした．治療効果判定では，強い高エコー化の部分は評価し難い部分があったが，Levovistの造影で用いた高MIのCHA modeを使用することで造影剤と組織信号の分離が可能で簡便な手法として有用であった．⑤B-modeで描出し難い肋間，深部は目的部位でMI値が表示より低くなることがあるためMI値を上げて造影を施行することで造影効果の上昇が確認できた．Sonazoidの造影は現状では同一の手法で全てが上手く撮影されるわけではないが，これらの欠点を理解し今後の造影modeを改良していくことが重要である考えられた．