Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
消化器:肝造影1

(S362)

心機能がソナゾイド到達時間に及ぼす影響

Sonazoid arrival time and cardiac function

松本 直樹1, 小川 眞広1, 阿部 真久1, 中河原 浩史1, 廣井 喜一1, 山本 敏樹1, 森山 ミツヒコ1, 石田 秀明2, 小笠原 正文3

Naoki MATSUMOTO1, Masahiro OGAWA1, Masahisa ABE1, Hiroshi NAKAGAWARA1, Yoshikazu HIROI1, Toshiki YAMAMOTO1, Mitsuhiko MORIYAMA1, Hideaki ISHIDA2, Masafumi OGASAWARA3

1駿河台日本大学病院内科, 2秋田赤十字病院消化器内科, 3GE横河メディカルシステム超音波事業部

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Nihon University Surugadai Hospital, 2Department of Gastroenterology, Akita Red Cross Hospital, 3Advanced Technology Research & Application Group,GE Yokogawa Medical Systems

キーワード :

【目的】
造影超音波検査において,動脈相の観察は通常,造影剤静注約15秒後から行われている.しかし時として,静注20秒後でも肝動脈への造影剤の流入が見られない症例に遭遇する.ソナゾイドは腫瘍へ急速に流入して染影を示すため,このタイミングで息止めが確実にされていることが血管相の評価に大変重要である.被検者には高齢者も多く,長時間の息止めが困難なことも稀ではないため,造影剤の到達が遅いと血管相そのものを逃してしまうこととなる.造影剤の到達遅延の原因として,一つには心機能の関与が考えられる.今回,ソナゾイドの肝臓への到達時間へ心機能が及ぼす影響について,心臓超音波検査結果から各項目を検討したので報告する.
【方法】
対象は平成20年1月〜12月に当院で前後3ヶ月以内にソナゾイド造影超音波検査がされ,また心臓超音波検査により心機能評価がされた37例.検討項目は左心機能としてEjection Fraction(EF),Fractional Shortening(%FS),Cardiac Output(CO)と,三尖弁,肺動脈弁,僧帽弁,大動脈弁の逆流の程度とした.ソナゾイド0.5ml/bodyをボーラスで静注してから腫瘍性病変内に流入するまでの時間を到達時間とし,上記の各項目による影響を検討した.使用装置は造影超音波ではLOGIQ7(GE),心臓超音波ではVivid7(GE),ACUSON Sequoia512(持田シーメンス).
【結果】
到達時間は7〜21秒で平均は13.7秒,中央値13秒であった.到達時間とEF,%FS,CO,各弁の逆流程度との相関は認められなかった.20秒以上に到達が遅延した症例は3例で,それぞれS状中隔による右室流出路狭窄,閉塞性肥大型心筋症,心房細動を合併した症例であった.
【結論】
ソナゾイド投与後の観察開始時間は,これまで個体差はあまり考慮せずに施行していたが,症例によって到達時間に大きなばらつきがあることがわかった.今回,心機能との関係を検討したが,心臓超音波検査で通常計測される代表的な項目との相関は認められず,流出路障害,心房細動といった明らかな障害が見られる場合に著明に到達遅延が生じることが明らかになった.このような症例では観察開始を15〜18秒後のようにやや遅く設定することにより,動脈相の観察がより良好になると考えられた.今回は心機能との比較を行ったが,他にもソナゾイドに影響を及ぼす要因があるかどうか,今後検討が必要と思われた.