土谷 薫¹, 池田 裕喜¹, 中西 裕之¹, 板倉 潤¹, 黒崎 雅之¹, 逸見 繁美³, 朝比奈 靖浩¹, 榎本 信幸², 泉 並木¹

Kaoru TSUCHIYA¹, Hiroki IKEDA¹, Hiroyuki NAKANISHI¹, Jyun ITAKURA¹, Masayuki KUROSAKI¹, Shigemi HENMI³, Yasuhiro ASAHINA¹, Nobuyuki ENOMOTO², Namiki IZUMI¹

¹武蔵野赤十字病院消化器科, ²山梨大学医学部第一内科, ³武蔵野赤十字病院検査部

¹Division of Gastroenterolgy and Hepatology, Musashino Red-Cross Hospital, ²The first department of internal medicine，University of Yamanashi, ³Department of clinical examination, Musashino Red-Cross Hospital

キーワード :

【背景】
Sonazoid造影超音波検査は肝腫瘍性病変の診断および治療に必要不可欠である．特にSonazoid造影下ラジオ波焼灼術（RFA）においては投与後10分以降のKupffer相での穿刺が多用され，良好なKupffer imageが得られれれば通常Bモードで描出困難な腫瘍においても確実に局所根治が可能である．
【目的】
Sonazoid造影超音波検査におけるKupffer image撮像の至適時間について検討する．
【対象および方法】
対象は肝腫瘍性病変に対してSonazoid造影超音波検査を施行した14症例．超音波機器はAplio XGを用い，Sonazoidは0.5ml/bodyを経静脈的にボーラス投与し，MI値0.2-0.3で観察した．投与10-60秒後までをvascular phaseとして観察，一旦scanを中止し，その後10分・15分・20分と経時的にscanを行った．方法 として10分・20分の静止画像を4名のブラインドリーダー（当院検査科腹部超音波技師）が評価し，その病変的中率の変化を検討した．方法・として10分・20分の同一深部の病変部と非病変部のintessityを測定し，その比をcontrast intensity ratioとして算出し，10分と20分の変化を検討した．
【結果】
病変的中率は10分（64.3％）に比べて20分（87.5％）で上昇した．contrast intensity ratioも10分（2.57）と比べて20分（3.08）で上昇する症例が多く，特に10分でratioが低い（2.0以下）9例においては全例が20分後のratioが上昇し，1.5倍以上の上昇を認めた症例が3例（33％）存在した．
【結語】
Kupffer phaseの至適撮像時間は20分以降と考えられる．特に10分で病変部と非病変部のcontrastが低い症例については20分以降まで引き続いて観察することが必要である．特にSonazoid下造影RFAにおいては良好なKupffer imageが確実な局所根治につながるため，治療前に評価しKupffer相至適時間でRFAを行うことが重要である．