Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
循環器:その他2

(S356)

大動脈弁置換術における経弁最大血流速度の上昇と予後についての検討

The Increased Transprosthesic Valve Peak Velocity after Aortic Valve Replace ment doesn’t Affect Postoperative Outcome

高村 千智1, 宮本 貴庸1, 渡部 真吾1, 尾林 徹1, 藤原 等2, 磯部 光章3

Chisato TAKAMURA1, Takamichi MIYAMOTO1, Shingo WATANABE1, Toru OBAYASHI1, Hitoshi FUJIWARA2, Mitsuaki ISOBE3

1武蔵野赤十字病院循環器科, 2武蔵野赤十字病院心臓血管外科, 3東京医科歯科大学循環器科

1Department of Cardiology, Musashino Red Cross Hospital, 2Department of Cardiovascular Surgery, Musashino Red Cross Hospital, 3Department of Cardiology, Tokyo Medical and Dental University

キーワード :

【目的】
大動脈弁置換術(AVR)に際してPatient-prosthesis mismatch(PPM)が術後の予後に影響を及ぼすとの報告がある.しかしPPMのない症例であってもAVR後に経弁最大血流速度(TVPV)の上昇を示すことがあり,予後や心血管イベントとの関係については不明な点が多い.今回我々はAVR前後の心エコーデータを基にTVPV上昇と予後または心血管イベントとの関係について調査した.
【方法】
2001年1月から2007年12月までに複合手術を含むAVRを施行した連続67症例(平均年齢:69歳,男性:41例,疾患:大動脈弁閉鎖不全症 21例,大動脈弁狭窄症 18例,大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症 15例)を対象とした.平均追跡期間は2.1年であった.AVR前及びAVR後1年の時点で心エコー図検査を行い,術後のTVPV 3.0m/s以上をHigh velocity group(H群),TVPV 3.0m/s未満をNormal velocity group(N群)とし死亡率,心血管イべント,BNP値を比較した.
【結果】
H群:11例(16.4%),N群:56例(83.6%)であった.PPMはN群にのみ3例認められ,有効弁口面積指数(EOAI)の平均値はH群 0.99,N群 1.12であり有意差は認められなかった.死亡はH群で4例(36.3%),N群7例(12.5%)であった.心血管イべントはN群にのみ3例認められたが,有意差は得られなかった.またBNP値も両群で差はなかった(H群:646±728.9pg/ml,N群:469±162.7pg/ml,p=0.33).
【まとめ】
PPMのないAVR後の症例でTVPVの上昇を認める場合,心血管イベントやBNP値への影響は少なく,留意しながら経過を追うことは可能であると考える.